防犯カメラで犯人特定までの期間は?映像の証拠力と犯罪ごとの特定傾向・実例を紹介

人物の特定ができる監視カメラ(防犯カメラ)は、防犯や施設管理の強い味方です。しかし、防犯カメラがあってもすぐに犯人が特定されるとは限りません。映像が不鮮明だったり、顔がマスクで隠れていたりすると、特定までに時間がかかる、もしくは特定できないケースもあります。
いざという時に証拠として役立つかどうかは、カメラの性能と設置環境によって大きく左右されます。
本記事では、防犯カメラの映像が犯人特定に至るまでの流れや証拠力、実際に活用された事例を紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
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防犯カメラで犯人が特定されるまでの流れ|映像の証拠力とは?

カメラの性能や現場の状況によって、特定までの時間や精度は異なります。
防犯カメラや顔認証システムを使った犯人特定の主な流れは、大きく次のとおりです。
| 1.映像から犯人の顔や服装などの特徴を抽出 2.顔認証システムでデータベースと自動照合 3.一致しない場合は、警察が他の映像や目撃情報、服装や動きの特徴も分析 4.複数の証拠をもとに身元を絞り込み、特定された人物に事情聴取や捜査を実施 |
なお、令和3年8月に東京都内の地下鉄駅構内で発生した傷害事件では、警察が駅構内やその周辺などに設置された防犯カメラの画像を収集・分析し、犯行の状況および逃走する被疑者の画像を精査するなどの捜査を行いました。
その結果、事件発生から4日後に被疑者を逮捕しています。
警察や法医学の現場では、今もなお人間の専門官が映像を見比べて確認する手作業も併用されています。
精度の高い顔認証技術や映像解析技術と、人の目による判断が組み合わされることで、より精度の高い特定が可能です。
証拠として使える映像の条件とは

防犯カメラの映像は事件の証拠となり得るものの、法的に有効とされるにはいくつかの条件を満たす必要があります。
| 【証拠としての映像に求められる主な条件】 ・画質が十分に鮮明であること(顔や動きが判別できるレベル) ・撮影日時や場所が正確に記録されていること ・改ざんや編集が行われていないこと ・保存形式が一般的で、再生できる状態であること ただし、プライベート空間の無断撮影やプライバシー侵害が疑われる映像は、証拠として認められない場合があります。 参考:犯罪予防や安全確保のためのカメラ画像利用に関する有識者検討会 報告資料(2022.3.09)|個人情報保護委員会 |
これらの条件が揃っていれば、防犯カメラの映像は警察による捜査や法的手続きにおいて、有力な証拠として採用される可能性が高くなります。
逆に、条件を満たさない場合は「証拠不十分」と判断されることもあるため、カメラの設置や運用には十分な注意が必要です。
実際の捜査では、防犯カメラの映像だけで事件の全容を証明できない場合も多いため、他の物的証拠や証言と組み合わせて判断することが一般的です。
映像から犯人が特定されるまでの「期間」はどのくらいか

防犯カメラの映像から犯人が特定されるまでの期間は、事件の内容や映像の鮮明さ、証拠の有無、捜査方法など、さまざまな要因によって異なります。
ここでは、一般的な目安や犯罪の種類ごとの傾向、特定までに時間がかかる理由について解説します。
1.一般的な犯人特定にかかる期間
防犯カメラ映像から犯人が特定されるまでの期間は、事件の内容や証拠の鮮明さ、捜査方法によって異なります。明確な映像や証拠が揃っていれば、数日〜1週間程度で特定されることもありますが、一般的には1週間〜1ヵ月程度が目安とされています。
警察庁が公表する令和元年〜令和5年の「刑法犯に関する統計資料」によると、防犯カメラの映像から犯人特定に至った件数は年々増加傾向にあります。
この傾向は近年も続いており、防犯カメラの普及と技術向上が特定までのスピード向上に寄与しています。

※警察庁令和元年〜令和5年の「刑法犯に関する統計資料」をもとに弊社にて作成
ただし、証拠が不十分な場合や複雑な事件では、特定までに数ヵ月かかることもあり、場合によっては特定に至らないケースもあります。
2.犯罪の種類ごとの特定スピードの傾向
犯罪の種類によって、防犯カメラ映像から犯人特定までの期間には傾向があります。以下は、実際の公開事例などをもとにまとめた一般的な傾向です。(※個別の事件や地域によって異なる場合があります。)
| 主な犯罪の種類 | 特定の根拠・傾向 |
|---|---|
| 空き巣・窃盗 | 出入口や近隣の防犯カメラに映るケースが多く、証拠映像が明確な場合は早期特定が可能な場合がある |
| 万引き・痴漢 | 店舗のカメラで顔や服装が明瞭に映っている場合は、その日のうちに特定されるケースもある |
| 暴行・傷害 | 現場付近の映像や目撃情報が多い場合は、短期間で特定に至ることが多い |
| 証拠が少ない単発犯行 | 映像だけでは証拠が不十分なケースが多く、慎重な捜査が必要になるため時間がかかる |
このように、犯罪の種類や現場の状況によって、犯人特定までのスピードには大きな違いが生じます。
3.犯人特定に時間がかかる理由とは?
防犯カメラの数が多くても、特定までに時間がかかるケースは少なくありません。「カメラがある=すぐに捕まる」という図式は実際には成立しないことが多いのが現状です。
犯人を特定しやすいケースと特定が難しいケースを、比較して一覧にまとめました。これらの違いは、犯人特定までに要する時間にも大きく影響します。
| 犯人を特定しやすいケース | 犯人の特定が難しいケース |
|---|---|
| 映像が鮮明で、犯人の顔や特徴がはっきり映っている | 犯人がマスクや帽子で顔を隠している |
| 犯人に逮捕歴があり、警察のデータベースに情報が登録されている | 犯人が初犯で、警察のデータベースに情報がない |
| 犯人が現場周辺で特徴的な行動を取っていた | 犯人が現場周辺で目立った行動をしていない |
続いて、犯人特定に時間がかかる主な理由をみていきましょう。
| 【犯人特定に時間がかかる主な理由】 ・映像の解像度が低く、顔の特徴がつかみにくい ・マスクや帽子などで顔が隠れている ・証拠となるカメラ映像は膨大な量になることが多く、解析や証拠の突き合わせには相当な時間を要する ・複数のカメラ映像を時系列で照合する手間がかかる ・カメラ映像の保存期間が短い施設が多い(平均:1週間〜1ヵ月程度) ・犯人が計画的に証拠を隠す・複数地域にまたがる様な場合は、犯人特定に数ヵ月以上かかることもある |
証拠が断片的な場合や警察の捜査方針によっても、特定までの期間は大きく変動することがあります。
一方で、近年では「顔認証技術」や「映像解析」の精度が向上し、犯人特定を支援する手段の一つとして活用されるケースも増えています。
映像に映った人物の特徴をもとに、データベースと照合できる仕組みの導入が進んでおり、従来よりも効率的な捜査が可能になりつつあります。
次の章では、実際に顔認証技術が捜査で活用された3つの事例をご紹介します。
映像が決め手に!防犯カメラで犯人が特定された3つの実例と所要期間

本章では、以下の3つのシーンを中心に「顔認証技術」の活用例を紹介します。
実例1.駅構内での刺傷事件|映像公開から2日で犯人特定
平成24年5月、東京都・副都心線渋谷駅構内で、通行中の男性が背後から刃物で刺され重傷を負う事件が発生しました。
警察は直ちに駅構内に設置された複数の防犯カメラ映像を精査し、犯行の様子や電車を乗り継いで逃走する被疑者の姿を確認しています。
さらに、映像をテレビなどのメディアで公開したところ、視聴者から多くの情報提供が寄せられ、事件発生からわずか2日後に被疑者を検挙しました。(警視庁発表)
| ▶ ポイント 映像の鮮明さと情報公開のスピードが、早期特定につながった典型的な例です。一般からの通報が大きな役割を果たした点も注目です。 参考:第3節 警察の取組|警察庁 |
実例2.路上の痴漢事件|54台・150時間の映像解析で10日後に逮捕
令和3年6月に名古屋市東区の路上で発生した早朝の痴漢事件では、犯人が自転車で逃走したため、現場にはほとんど目撃情報が残っていませんでした。
そこで、現場周辺に設置された「町カメ」と呼ばれる地域の防犯カメラ映像を起点に、容疑者の逃走ルートをリレー形式で追跡しました。カメラ映像を丁寧につなぎ合わせ、容疑者が着ていた水色の上着や、緑色の自転車のベルの位置など細かな特徴を一つひとつ洗い出していきます。
当初は帽子の有無などで迷いもありましたが、犯行直前に帽子をかぶる映像を発見し、容疑者との一致を確信しました。最終的に、カメラ54台・150時間分の映像を解析して逃走経路を割り出し、事件発生から10日後に容疑者の身柄を確保・逮捕することに成功しました。
| ▶ ポイント リレー捜査による粘り強い映像分析が、限られた証拠から容疑者を絞り込んだ決め手に。ダミーカメラや短い保存期間などの課題を乗り越えた「地道な足取り捜査」の成果です。 参考:「自転車の痴漢男」を追え!防犯カメラで容疑者特定 “スゴ腕捜査員”に密着 保存期間との『スピード勝負』|東海テレビ |
実例3.渋谷ハロウィン暴動事件|約2週間で15人を特定
平成30年のハロウィンに渋谷で発生した軽トラック横転事件では、警視庁が防犯カメラ映像を駆使して犯人特定と検挙に成功しました。
犯人逮捕につながったのは、43人の捜査員が約250台の防犯カメラ映像を徹底的に分析した結果です。「警視庁の捜査支援分析センター」が映像解析を担当し、「リレー方式」という手法で容疑者の動きを追跡しました。
リレー方式では、容疑者の特徴をもとに複数の防犯カメラをつなぎ合わせ、現場から自宅までの移動経路を特定します。約2週間で15人を特定し、悪質な4人を逮捕、外国人5人を含む11人を書類送検しました。
この迅速な対応により、その後の年末カウントダウンでは大きな混乱が起きず、防犯カメラの有効活用が犯罪抑止につながった好例ともいえます。
| ▶ ポイント 「リレー方式」による徹底した防犯カメラ映像の分析が、多数の犯人特定を可能にした決め手となった事例です。 この迅速な対応は、その後の犯罪抑止効果をもたらすなど、防犯カメラの有効活用を示しています。 参考:広がる顔認証技術を利用したサービス|ARC WATCHING 2019年2月 |
このように、防犯カメラの映像は犯人特定の重要なツールですが、「カメラがある」だけでは十分とはいえません。
高解像度で、人物の特徴を正確にとらえられるカメラであること、必要な情報が的確に記録・保存されていることが、スムーズな捜査・トラブル対応の前提になります。
近年では、顔認証機能や人物の動き・服装を自動で検出・追跡できるAI分析機能も進化しており、公共施設や店舗、駅・空港などでの活用が進んでいます。こうした機能をうまく活かすことで、犯罪の未然防止や早期対応にもつながります。
なお、株式会社セキュアの「GUARD-FORCE」は防犯カメラを使用して画像解析・顔認証が可能な防犯DXソリューションです。
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防犯カメラでの犯人特定に関する5つの質問

最後に、犯人特定や映像活用に関する5つの質問を取り上げました。
- マスク装着時でも人物特定はできる?
- 防犯カメラの映像の保存期間はどのくらいが適切?
- 防犯カメラの映像から警察が犯人を特定するまでの期間は?
- 顔認証機能付き防犯カメラは警察の捜査に使われている?
- 防犯カメラを扱う際に注意すべきことは?
気になるものからご覧ください。
質問1.マスク装着時でも人物特定はできる?
マスクを着用している場合でも、サービスによっては人物特定まで可能です。
AIやディープラーニングなど最新の技術の進化により、目元や顔の輪郭など露出している部分の特徴点を重点的に解析し、マスク着用時でも高い精度で本人確認が行える技術が実用化されています。
マスク着用時でもなぜ人物特定ができるのか詳しい理由については、下記の記事で解説しているので、併せてご覧ください。
質問2.防犯カメラの映像の保存期間はどのくらいが適切?
防犯カメラ映像の保存期間は業種や用途、そしてシステムの構築方法によって大きく異なります。
たとえば、オフィスや店舗、マンションでは1ヵ月前後の運用が多くみられます。一方で、金融機関や工場など高いセキュリティが求められる場所では半年から1年保存するケースもあります。
防犯カメラの映像保存期間は、HDD(ハードディスク)などの記録媒体の容量によって決まりますが、保存期間を延ばしたい場合は、HDDの増設やRAID構成(※)など、システム設計を工夫することで柔軟に対応できます。
(※)RAIDとは,ディスクの読み込み.書き込みを複数のディスクで並列に行うことにより,処理速度と安全性を高める技術である
引用:効率的なRAIDのアクセス順序決定のための完全二部グラフのcluttered ordering | CiNii Research
保存期間には法的な規定はありませんが、自治体や業界のガイドラインに従い、個人情報保護法を遵守して設定することが重要です。施設の目的やリスクに応じて最適な保存期間を選びましょう。
セキュアでは、お客様のご要望や運用状況に合わせて、最適な映像保存期間やストレージ構成をご提案しています。
長期間保存や効率的なデータ管理についても、お気軽にご相談ください。
質問3.防犯カメラの映像から警察が犯人を特定するまでの期間は?
一概に「何日」と断言できませんが、明確な映像や容疑者の特徴がはっきりしている場合は、数日〜1週間程度で特定されるケースもあります。
一方で、マスクや帽子で顔が隠れている・証拠が限られているなどのケースでは、特定までに時間を要する傾向があります。
また、複数のカメラ映像を照合したり、目撃情報や他の証拠と突き合わせたりする必要がある場合は、一般的に1週間〜1ヵ月程度が目安とされています。
さらに、証拠が乏しい場合や事件が複雑な場合は、特定までに数ヵ月かかることもあり、まれに特定に至らないケースもあります。
質問4「顔認証機能付き防犯カメラ」は警察の捜査に使われている?
警察では、三次元顔画像識別システムなどの技術を活用し、防犯カメラの映像と容疑者の顔データを照合することで、個人特定の精度を高めています。
三次元顔画像識別システムは、顔の角度や一部がマスクや帽子で隠れている場合でも、立体的な特徴点をもとに高い精度で個人識別が可能です。
【三次元顔画像識別システムによる顔画像照合】

施設に設置されたカメラが増加するなか、こうした技術の導入は犯行を立証するための重要な手段の一つとなっており、一部の自治体ではすでに実捜査への活用も始まっています。
質問5.防犯カメラを扱う際に注意すべきことは?
防犯カメラの導入時は、プライバシーや個人情報保護への配慮が欠かせません。特に顔認証カメラを使う場合は、より慎重な対応が求められます。
防犯カメラを扱う際の主な注意点を、下記にまとめました。
- 利用目的を明確にし、関係者に周知する
- 取得する情報は必要最小限にとどめる
- 映像やデータは適切に管理し、不正利用を防ぐ
- 個人情報保護法などの法令を遵守する撮影範囲や設置場所に配慮し、プライバシーを侵害しない
- 顔認証機能を使う場合は、同意取得が必要になるケースもある
これらのポイントを守ることで、防犯カメラによるトラブルや法的リスクを回避し、安心して運用できます。
定期的な運用ルールの見直しや、ガイドラインの確認も忘れずに行いましょう。
人物特定ができる防犯カメラは防犯・管理の強い味方

本記事では、監視カメラや防犯カメラによる犯人特定までの流れや映像の証拠力、そして証拠映像として求められる条件や運用時の注意点についてご紹介しました。
防犯カメラ映像から犯人が特定されるまでの期間は、事件の内容や映像の鮮明さ、証拠の有無によって大きく異なりますが、一般的には数日〜1カ月程度で特定に至るケースが多いとされています。
また、犯罪の種類やカメラの設置状況も特定スピードに影響します。確実な証拠映像を残すには、高性能なカメラの導入や適切な保存期間の設定が重要です。
株式会社セキュアの「SECURE VS」と「GUARD-FORCE」は、お客様の環境に合わせて柔軟にカスタマイズできる監視カメラ(防犯カメラ)ソリューションです。
豊富な種類のカメラとシステムを組み合わせ、最適なセキュリティプランをご提案します。ご希望の予算や利用したいシチュエーションなど、まずはお気軽にご相談ください。

セキュリティマーケター
和田 麗奈
保有資格:防犯設備士(優良)
株式会社セキュアに入社後4年間、セキュリティソリューション営業に従事。多岐にわたる業界・業種の課題解決に貢献する。
現在はマーケティングチームに所属し、現場での経験を活かしながら活動中。