倉庫のセキュリティ対策のポイントとは?防犯や事故防止に効果的なソリューションを解説
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倉庫は、企業にとって貴重な資産や情報を保管する場所であり、被害があった場合には企業活動に大きな影響を及ぼします。
2021年に大阪市此花区舞洲で発生した日立物流西日本の倉庫放火事件では、医薬品などの荷物や建物の大部分が焼失し、計200億円以上にものぼる財産的被害が生じました。
このような事件・事故を防ぐためには、倉庫でのセキュリティ対策が不可欠です。敷地が広く、死角や人の出入りも多い倉庫では、不法侵入や盗難などの物理的セキュリティのほか、情報漏洩などのサイバーセキュリティ、さらに操作や管理のミスといった人的リスクにも備える必要があります。
本稿では、倉庫に潜むセキュリティリスクと効果的なソリューションについて詳しく解説します。エリアごとに具体的な対策を紹介するので、倉庫のセキュリティ強化をお考えの方はぜひ参考にしてください。
株式会社セキュアでは、あらゆる業種や課題に対応する監視カメラソリューションをご提供しています。
物流・倉庫向けのセキュリティ対策を包括的にまとめた資料もご用意していますので、下記からダウンロードのうえご覧ください。
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目次
倉庫のセキュリティリスクと課題
倉庫における主なセキュリティのリスク・課題として、下記の6つがあげられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
不法侵入
倉庫には作業や搬入出などで多くの人・車両が出入りすることから、ゲートが開いたままであることも多く、部外者の不法侵入に注意する必要があります。
倉庫の敷地は広く物も多いため、死角が生まれやすい環境です。不審者が身を隠していると、人の目では気づかない場合もあるでしょう。日中はもちろん、より一層侵入リスクが高くなる夜間も含め24時間の対策が必要です。
不法侵入および盗難や放火などの犯罪防止には、
- セキュリティゲート
- 広範囲撮影・赤外線機能のある監視カメラ
- 入退室管理システムの設置
- セキュリティシステムの導入
などが有効です。
危険物の持ち込み・備品や機密情報の持ち出し
故意ではなくとも、倉庫への可燃物や化学物質などの危険物の持ち込みは、火災や爆発などの事故につながる可能性があります。
加えて、製品や貴重品をはじめ、機密情報などの持ち出しにも十分な対策が必要です。なかでも金属などの高価な資材は製品よりも所有者がわかりにくく、盗まれると大きな被害になります。
入退室管理や監視カメラの導入、金庫などによる危険物や貴重品の厳重な管理で、持ち込みによる事故や盗難のリスクを減らすことができます。
事故・災害への安全対策
地震や火災といった自然災害や、人為的なミスによる事故が発生した場合、早急な安全措置を実施するために、監視カメラが活用できます。
例えば、振動や火災などの異常をいち早く検知し、初期対応につなげられるほか、映像から事故の発生場所および事故原因の特定、被害状況の把握が行えるため、適切な対応をとりやすいでしょう。避難経路の状況をリアルタイムで確認しながら誘導を行うことや、逃げ遅れている人がいないかを確認することも可能です。
また、損害状況を記録することで保険請求の際の証拠として役立つなど、監視カメラの映像は事故後の対応にも有用です。
具体的な事故・災害への備えとしては以下のような対策があげられます。
- 防災用品の準備…飲料水・食品、救急・衛生用品、ヘルメット、懐中電灯などを保管
- 防災設備の設置…消火器・消火栓などの消火設備、火災報知器や非常ベルなどの警報設備、避難はしごや誘導灯などの避難設備、防火シャッターや防火扉などの防火設備を設置・管理
- 避難経路の確認…非常口の場所や階段・通路などの避難経路を共有しておく
- モバイルバッテリーなど電源の確保…スマートフォンや照明が迅速に使用できる
- データのバックアップ…事業に必要なデータや機密情報の損失を防ぐ
上記のように、万が一の事故や災害にもすぐ対応できる手段を備えておきましょう。
サイバーセキュリティの確保
倉庫には、顧客情報や製品に関する機密情報などが保管されていることもあるでしょう。これらの情報が外部に漏洩した場合、一次的な財産的被害だけでなく企業の信用失墜や法的責任に繋がるリスクがあります。
倉庫管理システムへのサイバー攻撃によって、情報の改ざんやシステム障害が発生し、物流や製造がストップする危険性も考えられます。
サイバーセキュリティ対策としては、以下の手段が有効です。
- 入退室管理による不法侵入防止
- アクセス制限…アカウント管理やVPNの利用、ネットワークのセグメンテーション、ファイアウォールの設定など
- データの暗号化…ハードディスクやPCの保存データ、通信データ、データベースなどにパスワードをかけて暗号化する
- バックアップ…重要データは外部のハードディスクやクラウドストレージなどに複製しておく
Pマーク・ISO認定の取得
上述のとおり、倉庫の運営において情報管理は非常に重要です。企業として堅固な管理体制を示すために、個人情報の取扱いが適切であることを示す「Pマーク」や、情報セキュリティマネジメントシステムに関する国際規格「ISO27001」などの認証取得が有効です。
これらの認定は、物理的セキュリティ、サイバーセキュリティ、災害対策など、規格に沿ったマネジメントシステムを構築・運用することで取得できます。国際規格の取得によって、顧客からの信頼および新たなビジネスチャンスの獲得も期待できるでしょう。
PマークやISO認定の取得に必要なセキュリティについては、下記のページにまとめていますのでご参照ください。
品質・衛生管理
倉庫では、保管する製品の品質を損なわないために、適切な在庫管理が必要です。
食品や医薬品など、より厳密な品質管理が求められる製品を保管する場合、温度や湿度を一定に保つだけでなく、異物混入や汚染を防ぐための安全対策が重要です。
監視カメラ・入退室管理で不法侵入や危険物の持ち込みを防止するほか、清掃や害虫駆除サービス、温度管理システムの導入などにより、製品の品質を確保することが求められます。
倉庫のセキュリティ対策に効果的なソリューション
上記にあげた倉庫のセキュリティ課題には、具体的にどのような対策をとればよいのでしょうか。ここでは、倉庫の物理的なセキュリティソリューションとして、外部からの侵入だけでなく内部における人為的な事故や不正行為などのリスクにも有効な手段を3つ紹介します。
いずれも自社で運用可能で、幅広いリスクに対応できるため、倉庫のセキュリティ対策として最初に導入したいソリューションです。
監視カメラ
監視カメラは、倉庫のセキュリティ対策において最も基本的な設備の一つです。倉庫の外周や出入口と、倉庫内部の両方に設置すれば、外部からの不法侵入に加えて倉庫内での異物混入や盗難などの不正を予防できる他、転倒や落下などの事故における状況把握・安全対策に役立ちます。
盗難や事故の被害などを映像で記録できるため、証拠として利用できることはもちろん、監視カメラの存在が威嚇となり、犯罪や不正の抑止効果が得られます。
厚生労働省が発表している労働災害事例には下記のような事故があります。倉庫での転倒や発火は、監視カメラによる検知で早期対応が可能になります。
出典:倉庫・物流センターで労働災害が発生しています!(厚生労働省|柏労働基準監督署)
倉庫の広い敷地を死角なく、少ない台数でカバーするには、全方位型カメラの設置が効率的です。屋外の設置には、防塵・防水機能のあるハウジング一体型カメラが活用できます。夜間の侵入にも対策する場合は、赤外線機能のあるカメラを選びましょう。
庫内で事故が発生しやすい区画では、作業状況が確認しやすい高解像度カメラでのモニタリングが有効です。また、複数拠点を一元管理したい場合には、モバイル端末でリアルタイムの画像確認ができるシステムが適しているでしょう。
さまざまな状況に対応可能なセキュアの各種監視カメラソリューションは、下記のページで詳しくご紹介しております。
セキュアの監視カメラソリューション「SECURE VS」の詳細はこちら
セキュアの監視カメラ製品に関するお問い合わせはこちらより承っておりますので、お気軽にご相談ください。
参考:柏労働基準監督署(厚生労働省 千葉労働局)、職場のあんぜんサイト(厚生労働省)
入退室管理
不審者の侵入や倉庫内での不正行為を予防し、倉庫の安全を確保するために、本人以外は入室できない入退室管理システムの導入も有効です。
不正アクセスによる情報漏洩や事故のリスク低減、非常事態における責任の所在の明確化など、セキュリティ性を確保した安全対策として効果が高く、企業の信頼性向上に寄与します。
入退室の管理方法として、顔認証や生体認証、ICカード認証が活用できます。
たとえば、食品工場における原材料の保管庫などで、食品への異物混入を防ぐフードディフェンスを徹底するためには、所持品なしで入室できる顔認証での入退室管理が適切です。
セキュリティレベルの異なるエリアごとに権限を設け、アクセスを制限することも可能であり、安全管理がより強化できます。勤怠管理システムとの連携や検温機能など、拡張性が高いシステムを導入すれば業務効率化も可能です。
さまざまな状況に対応可能なセキュアの各種入退室管理ソリューションは、下記のページで詳しくご紹介しております。
セキュアの入退室管理システム「SECURE AC」の詳細はこちら
セキュリティゲート
セキュリティゲートとは、IDカード認証や生体認証などで本人照合を行い、通行を許可するエントランスゲートのことです。不正な通行を検知して扉を閉じ、強引な通行にはブザーなどで異常を通知する機能もあります。
屋外および屋内外をつなぐ箇所などに配置すれば、部外者や不審者の侵入を防ぐことができるほか、入退出の管理や入場制限の自動化も可能です。自転車や台車、車椅子の出入りにも対応でき、屋外の設置には防水・防塵性能をもつ製品を選ぶとよいでしょう。
セキュアでは、さまざまなタイプのセキュリティゲートをご用意しています。詳しくは下記のページでご確認ください。
それぞれのソリューションについてどのような機器の導入が必要かお悩みの場合は、倉庫のセキュリティ対策に最適なソリューションが網羅的にわかる、下記のお役立ち資料をご覧ください。
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倉庫のエリア別セキュリティ導入例
次に、倉庫におけるセキュリティの基本として、押さえておきたい下記6つのエリアとそれぞれの対策を解説します。倉庫のセキュリティ強化の具体例として参考にしてください。
1.外周エリア
倉庫の外周エリアは外部との境界となるため、部外者の立ち入りに対して厳重な管理・警戒が必要です。
フェンスや塀、本人認証機能のあるセキュリティゲートの設置で物理的に侵入を防ぐほか、監視カメラや防犯ブザー、センサーライトなどを設置することで、より防犯効果を高めることができます。
フェンスなどの乗り越え・切断による不法侵入対策、また事故・事件発生時に速やかな事後検証ができる設備を選ぶとよいでしょう。
2.出入口
倉庫内への出入口は、従業員に紛れて不審者が侵入するリスクが高い場所であり、不法侵入への対策および入退場の履歴管理を徹底することが望ましいです。入退室管理システムや監視カメラの導入はリスク対策として非常に有効です。
さらに、出入口の鍵をダブルロックにする、扉に防犯ブザー付きのセンサーを設置するなどの対策を重ねることで、防犯効果を高められます。
3.倉庫内
万が一、倉庫に不審者が侵入してしまった場合に備え、倉庫内のセキュリティ対策を万全にしておくことで盗難被害のリスクが低減できます。
倉庫内のセキュリティ対策には、警備会社と連携した監視システムや、赤外線機能付きの監視カメラの設置による24時間体制の見守りが有効です。
庫内の作業場では、防犯対策に加えて事故防止などの安全対策も重要です。大型の荷物を扱う倉庫では、事故や災害による被害の防止・早期対応を、食品や医薬品の保管庫では衛生管理をそれぞれ行うためにも、監視カメラシステムの活用が必須といえます。
4.執務室
執務室では、従業員や顧客の個人情報、製品の機密情報など、重要な情報を管理・運用している場合が多いです。
内部不正のリスクが高いエリアのため、従業員に対してのセキュリティ対策が肝要であり、入退室管理による入室制限に加え、内側・外側の両方に監視カメラを設置することが望ましいです。
貴重品や個人情報、企業の機密情報などは、金庫で物理的に厳重な管理をしておくことも忘れないようにしましょう。
5.サーバールーム
サーバールームは執務室と同様に、機密情報の漏洩リスクが高いエリアです。常に施錠されている状態でなくてはならず、入室権限と入退室の履歴を厳格に管理する必要があります。
本人確認ができる入退室管理システムの導入や監視カメラによるモニタリングはもちろん、暗証番号による施錠システムの導入など、堅牢なセキュリティ体制が求められます。
アクセス制限、暗号化、データのバックアップなど、システム上のセキュリティ対策もあわせて必ず行いましょう。
6.駐車場
倉庫の駐車場は搬入出のための車両の出入りが多く、不法侵入や事故に注意が必要です。従業員以外の作業も多くなる場合があり、不審車両の侵入のほか、物品の紛失対策も行っておくと安心でしょう。
ナンバープレートや積荷の内容を確認できる高画質性能に加え、夜間の侵入対策となる赤外線機能付き監視カメラの導入や、サーチライトの設置などが有効です。
まとめ:企業の信頼性向上のため倉庫のセキュリティ対策を万全に
資産を保管する倉庫のセキュリティ対策は、企業の信頼性および存続に関わる重要な課題です。
人の目での状況把握や監視が難しい倉庫には、監視カメラや入退室管理システムなど、エリアごとに適切なソリューションの導入が必須といえます。
セキュアでは、本稿でご紹介した課題をはじめ、あらゆる業種や課題に対応する各種セキュリティソリューションをご提供しています。
セキュリティ強化をご検討の方は、どのようなお悩みでもぜひ一度ご相談ください。
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