顔認証とは?仕組み・メリット・デメリット・セキュリティ対策を解説

顔認証とは、カメラで取得した顔の特徴をデータ化し、あらかじめ登録された情報と照合して本人確認を行う生体認証技術です。
オフィスや工場などの入退室認証をカードレス化できる一方、写真によるなりすましや顔データの管理への備えも欠かせません。
導入を検討する際は、仕組みや認証精度だけでなく、利用環境や個人情報保護の運用まで確認する必要があります。
本記事では、顔認証の仕組み・認証方式・メリットとデメリット・セキュリティ対策を整理し、企業が自社に合ったシステムを選ぶ際のポイントを解説します。
顔認証とは

顔認証とは、顔画像から人の顔の特徴を取り出し、あらかじめ登録された情報と照合することで、本人を識別・確認する生体認証技術です。
指紋認証や虹彩認証と並ぶ生体認証(バイオメトリクス認証)の一種であり、カードや鍵のように持ち歩く必要がなく、非接触で認証できる点が大きな特徴です。
なりすましや不正な入室・アクセスのリスクを抑える効果が期待できることから、高いセキュリティが求められる場面で採用が広がっています。
一方で、「顔認証」という言葉は「顔認識」という似た技術と混同されることも少なくありません。
まずは両者の違いから見ていきましょう。
顔認証を理解する2つの基本
顔認証と顔認識の違い
顔認識は、画像や映像の中から顔を検出し、顔の位置や特徴、性別・年代・表情といった属性を分析する技術を指すことが一般的です。
マーケティングや来店者分析など、統計的な把握を目的として活用されるケースもあります。
一方、顔認証は、あらかじめ登録された顔データと照合し、「特定の個人であること」を確認する技術です。
本人確認やアクセス制御など、セキュリティ用途で使われる点が顔認識との大きな違いです。
| 比較項目 | 顔認識 | 顔認証 |
|---|---|---|
| 目的 | 顔の検出と属性の推定(性別・年代・表情など) | 登録データと照合し、特定の個人であることを確認 |
| 処理内容 | 画像から顔の位置を検出し、属性を分析する | 抽出した顔の特徴データを、登録済みの情報と照合する |
| 主な用途 | マーケティング(来店者分析、広告効果測定など) | セキュリティ(本人確認、入退室管理、決済など) |
なお、技術資料や製品によっては「顔認識」という言葉が本人確認まで含む広い意味で使われる場合もあります。
本記事ではわかりやすく整理するため、属性の把握を「顔認識」、登録データとの照合による本人確認を「顔認証」として説明します。
目的や用途が異なるため、導入を検討する際は、自社が実現したいことが「属性の把握」なのか「本人確認」なのかを整理したうえで、技術を選ぶことが重要です。
顔認証が注目される背景
顔認証への関心が高まっている背景には、非接触ニーズに加え、労働力不足を背景とした省人化・業務効率化の必要性があります。
顔認証を入退室管理や勤怠管理に活用することで、ICカードや鍵の発行・回収、本人確認、入退室記録の管理といった業務負担の軽減が期待できます。
また、マスク着用時の認証に対応した製品や、体表面温度の測定機能を備えた製品が登場するなど、技術の進化も普及を後押ししてきました。
現在は、オフィスのほか、医療・介護施設なども顔認証の活用先の一つです。
富士経済の2025年6月公表の調査では、監視カメラシステムやアクセスコントロールを含むセキュリティ関連の国内市場について、当面は堅調な推移が見込まれています。
一方、2028年頃からは伸びが鈍化し、アクセスコントロール分野でも中長期的な需要減少が懸念されています。
出典:富士経済「セキュリティ関連(機器・システム・サービス)の国内市場を調査」(2025年6月6日)
この見通しは顔認証だけを対象としたものではありません。
市場全体の動向を参考にしつつ、自社の課題と導入目的を具体化することが大切です。
顔認証の仕組み

顔認証は、大きく「登録」と「認証」の2つの工程で成り立っています。
あらかじめ本人の顔データを登録しておき、認証時にはその登録データと照合する、という流れです。
まずは事前準備である登録から見ていきましょう。
顔登録と認証処理の5つのステップ
事前準備|顔データの登録
顔認証を利用するには、事前に本人の顔を撮影し、特徴データをシステムに登録しておく必要があります。
登録時には、製品や運用方法によって、複数の角度から顔データを取得する場合もあります。
認証精度は登録データの品質にも左右されるため、導入時には登録方法と更新方法を確認しておきましょう。
登録した顔データが、本人確認を行う際の照合対象になります。
ここから先の4つのステップは、実際の認証時の処理を整理したものです。
①顔の検出
まず、カメラで取得した画像や映像の中から、人の顔がどこにあるかを検出します。
1枚の画像に複数の顔が写っている場合は、それぞれの顔を個別に検出する仕組みです。
②顔の特徴点の抽出
検出した顔から、目・鼻・口・輪郭などの特徴点や、顔全体のパターンを抽出します。
抽出方法は、製品や認識モデルによって異なります。
③特徴量データへの変換
抽出した特徴点の情報を、数値化された「特徴量データ」に変換します。
特徴量データは顔の形状的な特徴を数値の並びとして表したものであり、実際の顔画像そのものとは異なるデータです。
特徴量データの保存方法や、顔画像そのものを保存するかどうかは、システムによって異なります。
導入時には、暗号化やアクセス制御の有無、保存する情報の種類、保存場所、保存期間、アクセス権限の管理方法を確認することが重要です。
④データベースとの照合
最後に、変換した特徴量データを、あらかじめ登録されているデータベースの情報と照合します。
両者の一致度があらかじめ設定した基準を上回った場合に、本人として認証される仕組みです。
顔認証は、この4つのステップを短時間で処理することで、カードや鍵を取り出さずに本人確認を行える仕組みです。
製品や設置環境によっては、立ち止まらずに認証できる「ウォークスルー型」の運用にも対応できます。
顔認証の種類(認証方式)

顔情報の取得方法による代表的な方式として、2D認証と3D認証があります。
それぞれ特徴が異なるため、導入目的に応じて選ぶことが重要です。
認証方式と付加機能の3つの分類
2D認証
2D認証(ビジュアルベース)は、カメラで撮影した平面の画像から、輪郭や目・鼻・口といったパーツの位置関係を計測し、登録データと照合する方式です。
専用の深度センサーを必要とせず、一般的なカメラで撮影した画像を利用できる構成もあるため、導入コストを抑えやすい点がメリットです。
一方、平面画像を用いるため、照明条件の影響を受ける場合があります。
また、生体検知などの対策を備えていないシステムでは、写真などを使ったなりすましへの耐性も確認する必要があります。
設置環境と生体検知機能を確認し、費用と対策のバランスを踏まえて検討しましょう。
3D認証(赤外線・深度センサーなどを用いる方式)
3D認証は、深度センサーなどを用いて顔の凹凸や奥行きといった立体的な情報を取得し、登録データと照合する方式です。
赤外線などを利用して奥行きを取得する製品もあります。
平面の写真では奥行きの情報を再現できないため、写真や動画によるなりすまし対策を強化しやすい点がメリットです。
赤外線を用いる製品には、暗所での認証に対応したものもあります。
一方で、赤外線カメラや深度センサーなどの専用機器が必要となる場合があり、2D認証と比べて導入費用が増えることがあります。
重要エリアの入退室管理では、奥行き情報を用いた方式も選択肢の一つです。
ただし、安全性は2D・3Dの区分だけで決まらず、生体検知や運用条件を含めて評価する必要があります。
体表面温度測定などを組み合わせた製品
顔認証端末の中には、体表面温度の測定機能やマスク着用検知などを組み合わせた製品もあるのが特徴です。
これらは顔認証そのものの認証方式というより、受付・入退室時の確認や施設運用を補助する付加機能として位置づけられます。
付加機能を検討する際も、本人確認や入退室ログの取得といった主な目的を整理し、対応する機能と利用条件を確認しましょう。
導入するシステムを選ぶ際は、認証方式ごとの特徴を踏まえたうえで、設置環境や求めるセキュリティレベルに合わせて検討することをおすすめします。
| 2D認証 | 3D認証 | |
|---|---|---|
| 認証の仕組み | 平面画像の輪郭・特徴点を照合 | 深度センサー等で凹凸・奥行きの情報を取得して照合 |
| メリット | 専用の深度センサーを必要としないため、比較的シンプルな機器構成で導入できる場合がある | 写真・動画によるなりすまし対策を強化しやすく、赤外線を用いる製品では暗所に対応するものもある |
| 注意点 | 照明条件や、写真等への対策状況を確認する必要がある | 専用機器が必要となる場合があり、構成によって費用が増えることがある |
| 選定の目安 | 必要な対策を備えた構成で、費用と運用負担を比較する場合 | 奥行き情報も使った照合が必要な場合 |
| 導入シーンの例 | 照明条件を整えやすい屋内の受付、勤怠打刻、会員施設の入館など | 奥行き情報を用いて認証する重要エリアなど(暗所等への対応は製品による) |
なお、上記は一般的な目安です。
実際の適性や認証精度は、製品の仕様、生体検知機能の有無、設置環境などによって異なります。
顔認証による入退室管理
顔認証ターミナルのラインアップを確認
顔認証を活用した入退室管理を検討する際に、
対応端末の特長を比較できる
総合リーフレットです。
※本ページに記載されている認証機器の製品名および型番は、©Suprema Inc. の登録商標です。
顔認証のセキュリティは安全?リスクと対策

顔認証の導入を検討する際、多くの方が気になるのが「本当に安全なのか」という点でしょう。
ここでは、なりすましへの対策や、顔データの取り扱いについて整理します。
安全に使うための3つの確認点
写真やなりすましで突破されないか
顔認証は、システムによって、写真や動画を使った「なりすまし」への耐性が異なります。
生体検知などの対策が不十分なシステムでは、平面の写真を使った認証突破のリスクがあります。
想定される手口の例は、印刷した写真、本人の顔が映った動画を画面に表示する「リプレイ攻撃」、精巧なマスク、生成AIによる合成画像・動画などです。
この課題に対応するため、生体検知(Liveness Detection)と呼ばれる技術を備えた製品もあります。
生体検知とは
顔の動き、まばたき、肌の質感、奥行き情報、画面の反射などをもとに、目の前にいるのが実在する人物か、写真・動画・マスクなどを使ったなりすましかを判定する仕組みです。判定に用いられる情報は、製品や認証方式によって異なります。
また、3D認証は、平面の写真では再現できない奥行きの情報を用いるため、写真や動画によるなりすまし対策を強化しやすいという特徴があります。
このように、なりすまし対策の強さは、採用している認証方式や生体検知機能の有無によって異なります。
認証方式や生体検知機能に加え、想定する攻撃への評価結果を確認しましょう。
重要度の高いエリアでは、顔とICカード、顔とPINなど、異なる種類の要素を組み合わせる多要素認証も選択肢です。
顔データ・顔特徴データの管理と個人情報保護
個人を識別できる顔画像は個人情報に該当します。
顔画像から抽出し、本人を認証できるように変換した顔特徴データも、法令で定める個人識別符号に該当する場合があり、元の顔画像を保存しないことだけで個人情報保護法の対象外になるわけではありません。
個人情報保護委員会は、犯罪予防や安全確保のために顔識別機能付きカメラシステムを利用する場合、利用目的をできる限り特定し、その範囲内で顔画像や顔特徴データを扱うよう示しています。
顔識別機能の利用は外観から分かりにくいため、利用目的の通知・公表が必要です。
登録された顔特徴データが保有個人データに該当する場合は、開示や利用停止等の請求に、法令上の要件に応じて対応する体制も整えておきましょう。
(出典:個人情報保護委員会「犯罪予防や安全確保のための顔識別機能付きカメラシステムの利用について」)
顔の特徴は、パスワードやICカードのように簡単に変更・再発行できるものではありません。
企業が顔認証システムを導入する際は、この点を踏まえて、利用目的の明確化や保存期間の設定、アクセス権限の管理、委託先の管理体制などを含めて、厳格な運用ルールを整備することが求められます。
顔特徴データなどの個人データを第三者へ提供する場合は、法令上の例外を除き、原則として事前に本人の同意が必要です。
共同利用の場合は、共同利用する旨、データの項目、利用者の範囲、利用目的、管理責任者に関する事項など、法定事項をあらかじめ本人に通知するか、容易に知り得る状態に置く必要があります。
第三者提供と共同利用を同じ手続きとして扱わず、利用形態に応じて確認してください。
入退室管理、勤怠管理、映像分析、通知機能を組み合わせる場合は、同じ顔データを使う場合でも、用途ごとに必要な情報と管理ルールを整理します。
たとえば、入退室の本人確認に使う顔特徴データ、勤怠確認に使う時刻記録、安全確認に使う映像、担当者へ送る通知の情報は、必要性も閲覧する人も同じとは限りません。
| 整理する項目 | 用途ごとの確認事項 |
|---|---|
| 利用目的・取得項目 | 本人確認、勤怠記録の確認、安全確保などの目的を具体化し、それぞれに必要な情報だけを扱います。 |
| 保存期間・保存先 | 顔画像、顔特徴データ、ログ、映像、通知履歴ごとに、利用上の必要性や適用法令に応じた保存期間と保存先を定めます。 |
| 閲覧権限 | 入退室管理者、人事担当者、安全管理担当者などの役割ごとに閲覧できる範囲を限定し、異動・退職時に見直します。 |
| 削除方法 | 登録解除時や保存期間満了時の削除手順を決め、連携先・委託先・バックアップに残るデータの扱いも確認します。 |
| 通知機能 | 通知先と通知する情報を必要な範囲に絞り、通知後に誰が事実を確認して対応するかを決めます。 |
| 従業員・利用者への周知 | 取得する情報、用途、保存・削除の方針、問い合わせ窓口を導入前に説明し、必要な同意の取得方法も確認します。 |
用途を後から追加する際は、当初の利用目的との関係や本人同意の要否を確認し、周知内容と権限設定も見直しましょう。
顔登録が難しい人や登録を希望しない人には、カードなどの代替手段を検討することも、利用者の理解を得るうえで役立ちます。
参考:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」
他の生体認証とのセキュリティ比較
生体認証には、顔認証のほかに指紋認証や虹彩認証などがあります。
それぞれ特徴が異なるため、比較しながら見ていきましょう。
| 顔認証 | 指紋認証 | 虹彩認証 | |
|---|---|---|---|
| 接触の有無 | 非接触 | 接触式の製品が多い(非接触式もある) | 非接触 |
| 主な注意点 | 設置環境や生体検知機能の有無によって対策レベルが変わる | 指の乾燥・怪我の影響を受けやすい | 専用機器が必要で、利用シーンが限定される場合がある |
どの認証方式にも一長一短があるため、自社が求めるセキュリティレベルや運用環境に応じて、方式を選ぶ、あるいは複数の方式を組み合わせることが有効です。
顔認証のメリット

ここでは顔認証を導入するメリットを、3つの観点から整理します。
顔認証の3つのメリット
手ぶら・非接触で認証できる
顔認証は、入退室時にカードや鍵を取り出さず、顔を向けて認証できる点がメリットです。
認証時にカードリーダーや指紋センサーへ触れる必要がないため、非接触での運用を重視する現場でも活用できます。
両手がふさがる作業の多い場所でも使いやすい方式ですが、認証できる距離や姿勢は、製品と設置環境に応じた確認が必要です。
なりすましの抑止・セキュリティ強化
入退室認証のカードや鍵への依存を減らすことで、その紛失・貸し借りに伴うリスクを抑えられます。
一方で、顔画像や顔特徴データの漏えいリスクがなくなるわけではありません。
本人の身体的特徴を照合する顔認証は、ICカードや暗証番号の共有・貸し借りによる不正利用を抑えやすい方式です。
生体検知や多要素認証などを組み合わせ、想定するリスクに応じて対策を強化しましょう。
入退室管理システムと連携し、「誰が・いつ」認証したかをログとして残せる製品もあります。
実際の通過まで把握できるかは、扉のセンサーやゲートなどの構成によって異なるため、記録できる内容を確認することが大切です。
運用の効率化(カードレス・履歴管理)
顔認証を導入すると、ICカードや鍵の発行・回収・再発行といった管理業務を減らしやすくなり、紛失時の対応コストの削減も期待できるでしょう。
退職者や異動者が発生した場合も、システム上で権限を変更・失効できるため、カードの返却漏れによる不正利用リスクの低減にもつながります。
さらに、入退室管理システムや対応する勤怠管理システムと連携させることで、入退室記録や出退勤記録の取得・集計を自動化し、手作業による記録や確認の負担を軽減できる場合があります。
システムによっては、来訪者に有効期限付きのアクセス権限を設定する運用も可能です。
顔認証のデメリット・課題

導入を検討する際は、メリットだけでなく、注意しておきたい課題も押さえておく必要があります。
導入前に知っておきたい3つの課題
認証環境(照明・角度・マスクなど)に左右される
顔認証は、設置場所の照明や角度、登録データの品質といった環境条件によって、認証のしやすさが変わる場合があります。
屋外設置や逆光になりやすい場所では、事前の動作検証が特に重要です。
精度を左右する具体的な要因については、後述の「顔認証の精度を左右する要因」であわせて解説します。
導入・運用コスト
顔認証システムの導入には、認証端末やカメラ、ソフトウェアライセンスなどの初期費用に加え、保守・運用にかかる費用も発生します。
特に3D認証に対応する専用機器を導入する場合や、大規模な拠点展開を想定する場合は、費用が大きくなりやすい点に注意しましょう。
自社の目的やセキュリティ要件に見合った投資かどうかを、費用対効果の観点から検討することが重要です。
顔データ登録への心理的抵抗が生じる場合がある
顔認証は顔画像や顔特徴データを扱うため、従業員や利用者が「監視されているようで不安」「顔データを登録したくない」といった心理的な抵抗を感じる場合があります。
導入時には、顔データを何の目的で、どの範囲で利用するのか、どのように管理・削除するのかを事前に説明し、利用者が不安を感じにくい運用体制を整えることが重要です。
顔認証の精度を左右する要因

「顔認証はどれくらい正確なのか」という点も、多くの方が気になるポイントでしょう。
ここでは、精度に影響する要因と、精度を高めるための工夫を見ていきましょう。
認証精度を考える2つの観点
環境・経年・双子・マスクの影響
顔認証の精度は、製品の認証方式(2D/3D)、登録データの品質、照明環境、カメラの設置角度・設置高さ、逆光や暗所といった撮影条件、運用条件など、さまざまな要因によって変わります。
一卵性双生児のように顔の特徴が非常に近い場合や、長期間の経年変化があった場合も、精度に影響する可能性があります。
双子・経年変化・マスク着用時への対応状況は、製品ごとに確認が必要です。
カタログ上の表記だけでなく、実際の利用環境に近い条件で検証しましょう。
精度を高める工夫
安定した運用には、設置環境に適した方式の選定と、登録画像の品質・カメラ位置・照明条件の調整が欠かせません。
認証のしやすさと安全性のバランスを確認し、重要エリアではICカードやPINと組み合わせる方法も検討しましょう。
登録データの更新や複数角度からの登録を行う場合は、製品の推奨手順に従ってください。
導入前には、実際の設置環境に近い条件でデモ機を使った検証を行うことをおすすめします。
顔認証の活用シーン

顔認証は、身近な場面から企業でのセキュリティ対策まで、活用の幅が広いのが特徴です。
ここでは、企業での代表的な活用シーンから順にご紹介します。
オフィスの入退室管理
企業における顔認証の代表的な活用シーンが、オフィスの入退室管理です。
顔認証を入退室に用いると、認証用のカードや鍵への依存を減らしながら本人確認を行えます。
社員証を身分証明など別の用途にも使っている場合は、その運用を分けて考えましょう。
製品や設置環境によっては、立ち止まらずに認証するウォークスルー型の運用にも対応できます。
不正な入室の抑止や入退室ログの確認に加え、対応する勤怠管理システムと連携できる場合もあります。
ただし、入退室時刻と労働時間は必ずしも一致しないため、勤怠記録への反映方法と本人による確認・修正の手順を定めることが大切です。
入退室管理の認証方式や導入時の確認事項は、次の記事で解説しています。
工場・倉庫のエリア制御
工場や倉庫では、危険区域や高価値な商品が保管されているエリアへのアクセスを、従業員ごとに管理する用途でも顔認証が活用されています。
許可された人物のみが特定のエリアに入れるように制限することで、事故や盗難のリスク低減にもつながります。
研究施設や薬品保管庫など、部署や役職に応じてアクセスできる範囲を細かく分けたい場所とも相性のよい方式です。
工場での入退室管理の活用方法や導入事例は、次の記事で紹介しています。
店舗・会員施設の本人確認
小売店舗では、顔認証を決済手段や本人確認に活用する取り組みも進んでいます。
レジでの本人確認や支払いを顔認証で行うことで、レジ業務の負担軽減や、無人店舗の運営にもつながります。
スポーツジムや貸会議室といった会員制施設でも、受付を顔認証に置き換えることで、無人・省人での運営がしやすくなる点も魅力です。
介護施設・医療施設での入退室管理
介護施設や医療施設では、職員・外部業者・来訪者の入退室を顔認証で管理することで、利用者の安全確保や施設内のセキュリティ向上につなげられます。
対応する監視カメラや映像分析・通知機能などと組み合わせ、入居者の無断外出や離設の早期把握を支援できる場合もあります。
利用時には、入退室管理と見守りで利用目的や閲覧権限を分け、本人や家族等への説明方法、通知後に職員が確認・対応する手順を検討しましょう。
これらの仕組みだけで離設や事故を防げるとは限りません。
マイナンバーカード・改札・空港・イベント
行政や公共交通の分野でも、顔認証の活用が進んでいます。
空港では、顔認証ゲートの導入により、パスポートと本人の照合を効率的に行う取り組みが進められてきました。
空港や航空会社によっては、事前に顔情報を登録し、手続きの一部をスムーズに進められるサービスも提供されています。
また、行政手続きや本人確認の場面でも、マイナンバーカードと顔認証を組み合わせた本人確認の仕組みが活用されています。
改札やイベント会場の入場管理も、顔認証が活用される場面の一つです。
スマホ・パソコンのロック解除
スマートフォンやパソコンのロック解除にも顔認証は使われています。
画面を見るだけで本人確認を行えるため、日常生活でも身近な認証方式として利用されています。
顔認証システムの選び方

企業が顔認証システムを導入する際に、確認しておきたい4つの観点を紹介します。
システム選定で確認する4つの観点
精度・認証方式(2D/3D)で選ぶ
まずは、自社が求めるセキュリティレベルに、認証方式が見合っているかを確認しましょう。
誤って他人を受け入れてしまう「誤受率」や、本人を誤って拒否してしまう「誤拒否率」がどの程度か、マスク着用時や屋外・逆光といった環境でも安定して動作するかは、事前に確認しておきたいポイントです。
セキュリティ・顔データ保護で選ぶ
なりすまし対策として生体検知機能を備えているか、顔データがどのように暗号化・管理されているかも重要な確認事項です。
保存期間や閲覧権限、削除方法を自社の運用ルールに合わせて設定できるか、委託先の管理体制も含めて確認しましょう。
既存設備・関連システムとの連携で選ぶ
既に入退室管理システムや勤怠管理システムを運用している場合は、それらと連携できるかどうかも重要な比較ポイントです。
顔認証を導入する際は、既存の電気錠・自動ドア・セキュリティゲート・監視カメラ・勤怠管理システムなどと連携できるかを確認しておきましょう。
既存設備を活かせる場合は、導入時の負担を抑えながら、入退室ログや映像確認を含めた運用を設計しやすくなります。
メーカー・サポート体制・実績で選ぶ
導入後のトラブル対応や、ソフトウェアのアップデート体制が整っているかは、長期的に運用するうえで欠かせない確認ポイントです。
過去の導入実績や、利用人数・登録データ量が増えた場合にも対応できる拡張性があるかもあわせて確認し、信頼できるメーカー・ベンダーを選ぶことをおすすめします。
これらの観点は、カタログスペックだけでは判断しづらい部分でもあるでしょう。
自社の設置環境に合う構成かどうかは、次章で紹介するデモ機の確認や個別相談を通じて見極めることをおすすめします。
顔認証システムを入退室管理に活用するならセキュアへ

「ICカードの貸し借りや紛失リスクを抑えたい」「退職者・異動者の権限管理を効率化したい」「重要エリアだけ顔認証で入室制限したい」など、顔認証に期待する内容は施設によってさまざまです。
企業で顔認証システムを導入する際は、認証精度だけでなく、顔データの管理体制、入退室ログの活用方法、既存の入退室管理・監視カメラとの連携、導入後の運用・保守体制まで含めて検討しましょう。
セキュアがご提案する入退室管理システム「SECURE AC」は、顔認証を含む複数の認証方式に対応したシステムです。
既存設備や関連システムとの連携を含め、施設環境に応じた構成をご案内します。
連携できる機能や機器の範囲は、製品・構成・契約内容に応じて確認が必要です。
オフィスや工場などでの導入事例を公開しており、施設ごとの本人確認や権限管理の課題を考える際の参考にしていただけます。
提案から設計、施工、導入後のサポートまで一貫して対応できる体制を整えており、デモ機による認証スピード・精度の確認にも対応しています。
参考:セキュアがご提案する入退室管理システム「SECURE AC」/AI顔認証システム
まずは資料で、認証方式やシステム構成をご確認ください。
入退室管理システム SECURE AC
入退室管理の製品・構成をまとめて確認
認証方式や管理ソフトウェアなど、
SECURE ACの製品とシステム構成を
まとめた総合カタログです。
※本ページに記載されている認証機器の製品名および型番は、©Suprema Inc. の登録商標です。
顔認証に関するよくある質問
導入前によく寄せられる、仕組み・安全性・費用に関する疑問を整理します。
顔認証と顔認識の違いは何ですか?
顔認証は、登録データと照合して特定の個人であることを確認する技術です。
一方、本記事でいう顔認識は、画像内の顔を検出し、性別や年代、表情などの属性を分析する技術を指します。
ただし、技術資料や製品によっては「顔認識」が本人確認まで含む広い意味で使われる場合もあります。
スマホの顔認証と、企業向け顔認証システムは何が違いますか?
スマホの顔認証は、主に個人が所有する1台の端末で本人確認を行うための仕組みです。
一方、企業向けの顔認証システムは、多数の従業員や来訪者を対象に、入退室管理などでまとめて運用することを想定して設計されている点が、大きな違いです。
写真で顔認証を突破されることはありますか?
写真によるなりすましへの耐性は、製品によって異なります。
生体検知や奥行き情報を用いた照合は対策の一つですが、搭載していることだけで認証突破を防げるとは断定できません。
導入時には、どのような写真・動画・マスクなどを想定して評価しているか、認証の条件とともに確認しましょう。
重要エリアでは、顔認証とICカードやPINを組み合わせる運用も検討してください。
マスクや双子でも認証できますか?
マスク着用時の認証に対応した製品もあります。
ただし、製品やマスクの形状、着用状態、設置環境によって認証結果が異なるため、導入前の検証が重要です。
双子など顔の特徴が非常に近いケースについては、製品や運用条件によって精度が変わるため、導入前に自社の利用シーンに近い条件で検証することをおすすめします。
顔認証は危険ですか?安全ですか?
顔認証そのものが一律に危険というわけではなく、なりすまし対策の有無や、顔データの管理体制によって安全性は異なります。
生体検知機能を備えたシステムを選んだうえで、個人情報保護の観点から適切にデータを管理することが、安全な運用の前提です。
顔認証はICカード認証より安全ですか?
顔認証は、ICカードの貸し借りや紛失・盗難による不正利用を抑えやすい点がメリットです。
一方で、安全性は認証方式や生体検知機能の有無によって変わるため、一概にどちらが優れているとは言い切れません。
重要度の高いエリアでは、顔認証とICカードやPINを組み合わせる多要素認証も有効な選択肢です。
顔認証システムの費用はどのくらいですか?
導入するシステムの認証方式や設置台数、クラウド型かオンプレミス型か、既存設備との連携範囲、保守サポートの有無などによって費用は大きく変わります。
正確な費用感を知りたい場合は、利用人数や設置場所、連携したい既存設備を整理したうえで、個別に見積もりを依頼することをおすすめします。
まとめ
顔認証は、顔の特徴をデータ化し、事前に登録された情報と照合することで本人確認を行う生体認証技術です。
あらかじめ顔データを登録しておき、認証時には顔の検出、特徴量データの抽出、登録データとの照合を短時間で処理することで、カードや鍵を使わない非接触の認証を実現しています。
セキュリティ面では、採用している認証方式や生体検知機能の有無によって、なりすましへの耐性が異なります。
個人を識別できる顔画像や、個人識別符号に該当する顔特徴データには、個人情報として適切な取扱いが必要です。
利用目的ごとに取得項目・保存期間・閲覧権限・削除方法を定め、従業員や利用者への説明まで含めて運用を設計しましょう。
企業で顔認証システムの導入を検討する際は、精度・認証方式、セキュリティ・顔データ保護、既存設備・関連システムとの連携、メーカー・サポート体制という4つの観点から、自社の要件に合ったシステムを選ぶことが重要です。
オフィスや工場では、実際の照明や動線、利用人数に近い条件で試すことが、自社に合う構成を見極める助けになります。

セキュリティマーケター
和田 麗奈
保有資格:防犯設備士(優良)
株式会社セキュアに入社後4年間、セキュリティソリューション営業に従事。多岐にわたる業界・業種の課題解決に貢献する。
現在はマーケティングチームに所属し、現場での経験を活かしながら活動中。