AI画像解析で支える、築地場外市場のまちづくり
- 築地場外市場
- 事業内容
- 【インタビュー対象団体:特定非営利活動法人 築地食のまちづくり協議会】
築地場外市場の活性化・まちづくり
築地場外市場ブランドの発信・地域活性化 - 所在地
- 東京都中央区築地四丁目16番2号
- 導入商品
- SECURE VS(監視カメラシステム/AI画像解析)
- 導入年月
- 2026年2月
- ホームページ
- https://www.tsukiji.or.jp/
Point
- 中央卸売市場の移転や社会環境の変化を背景に、築地場外市場も役割や店づくりが変化
- 中央卸売市場跡地の再開発本格化を前に、感覚ではなくデータで現在の人や車の動きを把握するためAI画像解析システムを導入
- 機能面だけでなく、価格や導入後のサポート体制を重視してシステムを選定
- 蓄積したデータを今後のまちづくりに生かし、築地の新たな価値創出を目指す
築地場外市場のまちづくりを担う協議会
「特定非営利活動法人築地食のまちづくり協議会」様は、中央卸売市場築地市場の移転が決定されたことを機に、2006年に設立されました。築地市場の移転後も場外市場地区が活気とにぎわいのあるまちとして発展し続けることを目指し、「築地」ブランドの維持や、築地に根付いた伝統と日本の食文化の継承、よりよいまちづくりに取り組んでいます。現在は4つの商業団体と2つの町会が所属しています。
同団体には、今後の取り組みに向けて、AI画像解析による人数カウント・車両検知システムを導入いただきました。
中央卸売市場とともに発展してきた築地場外市場は今、大きな変革の時期に突入しています。取り巻く環境の変化やAI画像解析システム導入の背景、活用について、事務局の鈴木孝夫様(以下、鈴木様)にお話を伺いました。
変わりゆく築地場外市場とAI画像解析システムの導入
――築地場外市場は、近年どのように変化してきたのでしょうか。
鈴木様:2018年に中央卸売市場が豊洲に移転し、2026年現在は、その跡地の再開発計画が進んでいます。中央卸売市場とともに発展してきた場外市場も、少しずつ姿を変えてきました。これには社会環境の変化が大きく関係しています。
築地はもともと店頭販売が最終地点ではなく、物流の拠点としての側面が主でした。中央卸売市場は、仲卸業者や飲食店、鮮魚店など、いわば“プロ”たちの仕入れ先です。全国各地から集められた魚などが早朝から競りにかけられ、新鮮な素材を求める“プロ”たちが集まっていました。場外市場にも、食材を仕入れ、飲食店などへいち早く届ける店が数多く集まっていました。それが“築地らしさ”でした。
しかし、時代とともに、場外市場を取り巻く環境も変わってきました。
たとえば、世間では核家族化が進み、正月に親族で集まって食卓でおせちを囲む家庭は少なくなってきました。季節の贈答品にしたり、宴会などで楽しんだりする機会も次第に減った上、中央卸売市場の移転や新型コロナウイルス流行なども重なりました。さらにインターネットも普及し、さまざまなことをスマートフォン一つで済ませることができるようになるにつれ、飲食店の仕入れのしかたも変わってきました。
そうした流れを受け、場外市場でも店づくりの方向性が変化していきました。物流拠点としてのみならず、店頭販売や観光の場としての役割も強まっています。かつての“築地らしさ”は影が薄くなってしまっていますが、今後も発展させていく上では世の中のニーズに対応していくことも必要だと考えています。

写真:鈴木様
――環境が大きく変わる中、AI画像解析システム導入を検討された経緯を教えてください。
鈴木様:中央卸売市場跡地の再開発に関しては、事業者や行政とも協議しながら、場外市場のこれからを考えていくことになります。そのためには現状をデータとして把握する必要があると思ったのがきっかけです。
築地場外市場は現在、朝から昼頃までの営業が中心で、日曜日は休業する店舗が多くを占めます。全体の来場者のピークも、基本的には店舗の営業時間と連動しています。中央卸売市場跡地にはスタジアムやホテルが建設される予定です。これまでとは異なる施設が隣接することとなり、周辺の人の動きも変わっていくことが見込まれます。
たとえば夜間や土日の人通り、車の往来の頻度などです。それに合わせて店舗の営業時間を変更するのか、変更するならば人員の確保はどうするのか。駐車場を作るのであれば、具体的な場所やルート確保はどうするのかなど、検討すべき事柄は多岐にわたります。
そこでまずは曜日や時間帯ごとの人物や車両の通行状況を把握するため、AI画像解析システムの導入を検討し始めました。
機能だけではない、価格と導入後の相談のしやすさが決め手に
――導入ベンダーの選定にあたって、どのような点を重視されましたか。
鈴木様:複数のベンダーに問い合わせ、選定にあたってはコンペを実施しました。セキュアさんのAI画像解析システムも要件は満たしていましたが、正直なところ、機能面で圧倒的な差があるわけではありませんでした。これは今回コンペに参加いただいたベンダーさんに限らず、いま世の中に出ている実用的な技術のラインだったと判断しています。そのため価格と、導入後のサポート体制を重視しました。セキュアさんはALSOKさんを通してのご提案でしたが、価格面で頑張っていただけたことに加え、ALSOKさんの事務所も近く、導入後も相談しやすい環境だったことがポイントでした。
感覚で捉えていた人や車の動きをデータで可視化
――画像解析システムを導入して、どのような変化がありましたか。
鈴木様:設置から半年程度経ち、ある程度のデータが蓄積されてきていると思います。実感しているのは、やはり積み重ねが大事だということです。まだまだ、活用に向けて最初の一歩を踏み出した段階だと思っています。
人の流れは統計ですので、日によっても異なります。時事ニュースに影響されることも多々あります。たとえば近年の夏は非常に気温が高いため屋内でレジャーを楽しむ人が増えるなど、人の行動にも変化が見られます。屋外で営業している場外市場では、こうした天候による人の行動の変化も、来場者数に表れることがあります。システム上で取得しているのは人数のデータのみですが、気温や天気と来場者数を紐づけて分析すれば、どのような条件で来場者数が増減するのかが見えてくると思っています。
また、時間や曜日別の来場者数を示せるようになったことも大きいです。夜や日曜日の来場者が少ないということも、以前から認識はされていたものの、具体的な数字にはなっていませんでした。まずは現状をデータとして把握し、中央卸売市場跡地にスタジアムが建設された後、どのような変化が現れるのかを予想したり比較したりすることで、必要な対策も見えてくると考えています。
車両の検知も同様です。すでに現在でも、人混みの中をかき分けて車が通ることがあります。人の流れや車の通行量が変わるのであれば、今以上に人と車が接触しないよう、ルートを確保した上で駐車場の場所を決める必要があります。これもまずは数字として現状をデータにして、やっと協議ができる状態になります。
感覚で捉えていたことが、同じデータを見ながら話ができるようになったことは大きな変化だと思います。


写真:小田原橋棟出入り口
人数カウント用カメラを設置
写真:人数カウント画面イメージ
さらなる技術活用で、築地の未来を切り拓く
――今後、AI画像解析にどんなことを期待しますか。
鈴木様:日本の方と海外からの観光客では求めるものも異なると思いますので、画像解析で傾向が捉えられるようになればとても便利だと思います。さらに言えば、来場目的とも紐づけて分析できれば、どのような人が、何を目的に場外市場を訪れているのかを把握でき、より具体的な運営方針策定にもつながると思います。もし今後開発がされるようなことがあれば、実証実験にも協力したいですね。
自治体単位で見ると何例かあるようですが、商店街の単位では、築地場外市場は早い段階からAIを取り入れた事例だと自負しています。これからも先進技術は積極的に活用していきたいと考えています。技術の進歩に大いに期待しています。
<インタビュアー所感>
築地場外市場の歴史や伝統を大切にしながらも、これからのまちづくりに向けて技術を積極的に取り入れていく姿勢がとても印象に残りました。AI画像解析についてもさまざまなアイデアをお持ちで、今後の活用についてのお話もとても興味深かったです。
鈴木様は多数のメディアで取材を受けていらっしゃり、「築地場外市場」という地域の注目度の高さがうかがえます。築地場外市場のさらなる発展に向けて、AI画像解析をはじめとする技術を通じ、私たちもお力になれるよう取り組んでいきたいと思います。
人物紹介

特定非営利活動法人 築地食のまちづくり協議会
事務局
鈴木 孝夫 様
ホームページ:https://www.tsukiji.or.jp/
<導入設備>
AI画像解析システム https://secureinc.co.jp/solution/secure-vs-feature2.html

