1. HOME
  2. ブログ
  3. 混雑状況の可視化とは?5つの手法を徹底比較|費用・事例・選び方まで解説

混雑状況の可視化とは?5つの手法を徹底比較|費用・事例・選び方まで解説

「現場のスタッフから“ピーク時間帯が読めない”と相談を受ける」「口コミに“いつも混んでいる”と書き込まれた」「経営会議で、勘ではなくデータにもとづいた混雑対策を出すよう求められた」

こうした課題は、施設運営にかかわる担当者の多くが直面しているのではないでしょうか。

社内で「混雑している」という認識は共有されていても、実際に何曜日の何時にピークが来て、どの時間帯で来客が減るのかといった定量的なデータがないまま打ち手を検討している現場は少なくありません。

混雑状況の可視化は、こうした課題をデータで解決するための仕組みです。

本記事では、代表的な5つの手法の違いや費用相場、施設規模に合った選び方、導入前に知っておくべきプライバシー対応まで、まとめて解説します。

目次

混雑状況の可視化とは?まずは全体像をサクッと理解

施設内の混雑状況をカメラやセンサーで可視化するイメージ

混雑状況の可視化とは、施設や店舗内の人の数や密度をセンサーやカメラで計測し、リアルタイムに表示・配信する仕組みのことです。

大きく分けると、次の3つのことが可能になります。

1つ目は、今この瞬間の混み具合をリアルタイムで把握できることです。

2つ目は、蓄積したデータをもとに時間帯別・曜日別の混雑傾向を分析できることです。

3つ目は、来訪者に向けて混雑情報をサイネージやアプリで配信し、混雑を避けた行動を促せることです。

混雑状況の可視化を支える中核技術のひとつがAIカメラです。

AIカメラの基本的な仕組みや5つの機能については、以下の記事で詳しく解説しています。

ではなぜ今、多くの施設でこうした仕組みの導入が進んでいるのでしょうか。

次章から背景と具体的な手法を順に整理していきます。

株式会社セキュアでは、AIカメラ、ステレオカメラ(二眼カメラ)、赤外線サーモパイルセンサーなど多様な方式を組み合わせた混雑状況の可視化ソリューションを提供しています。

自社施設に合った手法を検討したい方は、まずは詳細資料をご覧ください。

混雑カウントリーフレットのイメージ

混雑状況の可視化

混雑カウントの仕組みと活用方法を確認

施設の混雑状況を把握・案内する仕組みと、
活用イメージをまとめた
リーフレットです。

資料を請求する

なぜ今、混雑状況の可視化が求められているのか

施設の混雑状況を確認する利用者と運営者のイメージ

混雑状況の可視化が注目される背景には、利用者側と運営側の両方にある大きな変化があります。

本章では4つの観点から整理します。

利用者の行動変化:訪問前に混雑を知りたいニーズの高まり

Googleマップでは、飲食店や商業施設、観光スポットなどの「混雑する時間帯」が標準機能として表示されるようになっています。

Googleの公式ヘルプによると、この情報は過去数週間のロケーション履歴データを匿名で集計・分析することで生成されています。

出典:Google マップヘルプ「混雑エリアに関する情報をGoogle マップから入手する」

つまり、多くの消費者が外出先を選ぶ際に混雑情報を確認する行動が日常化しており、施設の運営者がコントロールできない場所で施設の「混み具合」が評価されている状況です。

口コミやレビューでも「混んでいた」「待ち時間が長い」といった投稿はネガティブ評価の典型として定着しました。

混雑していること自体が施設の評判を下げるリスクになっている現状を踏まえると、混雑状況の可視化は顧客接点の改善策として検討すべきテーマといえます。

運営側の課題:勘頼りのシフト組みが限界に

多くの施設では、ベテランスタッフの経験則をもとにシフトや人員配置を組んでいるのが実情です。

しかし、属人的なノウハウには再現性がなく、担当者の異動や退職とともにブラックボックス化してしまうリスクがあります。

人手不足が深刻化する中で、データにもとづいてシフト設計を見直す仕組みが求められるようになっています。

なお、ここでのポイントはベテランの経験を否定することではなく、データで裏づけて「補強」する点にあります。

防犯カメラの映像データを業務改善にも活用する取り組みについては、以下の記事でも紹介しています。

混雑が引き起こす「機会損失」の正体

混雑が売上に及ぼす影響を定量的に捉えると、その大きさに驚かれる方も多いのではないでしょうか。

機会損失は大きく3つの段階で発生します。

1段階目は「入店前の離脱」です。

外から見て混んでいると判断した来訪予定者が、入店をあきらめて帰ってしまうケースです。

2段階目は「レジ・窓口待ちの離脱」です。

入店はしたものの、レジや受付が混みすぎていて購入をあきらめるパターンがこれに当たります。

3段階目は「リピートの離脱」です。

「あの施設はいつも混んでいる」という印象が定着すると、次回以降の来訪を避けるようになります。

これらの損失額を試算する場合には、「推定離脱客数 × 平均客単価 × 年間発生日数」という計算式で概算値を出すことが可能です。

たとえば、1日あたり10名が混雑を理由に離脱し、平均客単価が3,000円、年間の混雑発生日数が150日と仮定した場合、年間で約450万円の機会損失が生じる計算になります。

拡大するAIカメラ市場

混雑可視化の中核技術であるAIカメラの市場は、国内外で拡大しています。

富士経済が2025年に公表した「画像処理システム市場」調査によると、AI・ディープラーニングを応用した画像処理製品は2023年以降も継続的に拡大しており、DX関連機器・ソフトウェアの導入が世界的に進んでいるとされています。

出典:富士経済「スマートファクトリーの”眼”として導入加速 画像処理システムの世界市場を調査」

海外の調査機関のレポートでも、AIカメラの世界市場は2026年から2034年にかけて年平均成長率(CAGR)21.67%で拡大すると予測されています。

出典:The Insight Partners「AIカメラ市場の規模、シェア、および2034年までの予測」

また、矢野経済研究所は「画像解析マーケティング市場の将来展望」レポートにおいて、小売向けのAI画像解析の活用について分析しています。

小売店でのマーケティング応用は実証実験に留まるケースが多いものの、海外における省人化店舗の普及を踏まえると、今後投資が拡大していく可能性があると分析しています。

出典:矢野経済研究所「画像解析マーケティング市場の将来展望」

こうした市場環境の変化を踏まえると、混雑状況の可視化は一部の先進企業の取り組みから、今後幅広い業態に広がっていく可能性があると考えられます。

そもそも、なぜカメラやセンサーで混雑が「見える」のか?仕組みをやさしく解説

カメラやセンサーで計測した混雑データをクラウドで集計し、ダッシュボードに可視化するイメージ

温泉やジムなどの施設で「現在の混雑状況」がモニターに表示されているのを見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは、混雑状況の可視化がどのような技術で成り立っているのか、その基本的な仕組みを解説します。

人数を数える仕組みの基本:4つの計測アプローチ

人数カウントの方法は、大きく4つのアプローチに分かれます。

1つ目は、カメラで撮影した映像をAIが解析して人を識別する「画像認識」です。

2つ目は、赤外線センサーや3Dセンサー、サーモパイル(表面温度)センサーなどで人の通過・存在を検知する「センサー計測」です。

3つ目は、Wi-FiやBluetooth(ビーコン)の電波を利用してスマートフォンの位置を推定する「電波計測」です。

4つ目は、入退室ゲートやカードリーダーの通過ログから在室人数を算出する「入退室ログ」です。

施設内の人数カウントがなぜ必要とされるのか、その背景や活用方法についてはこちらの記事でも詳しく触れています。

それぞれの精度や特徴の違いは、次章「混雑状況を可視化する代表5手法」で詳しく比較します。

計測→集計→可視化の3ステップフロー

計測された人数データが画面に表示されるまでには、3つのステップがあります。

ステップ1は「計測」です。

カメラやセンサーが人の数をカウントします。

ステップ2は「データ集計・処理」です。

計測データをクラウドなどで集計し、混雑度のレベルに変換します。

ステップ3は「可視化(配信・表示)」です。

ダッシュボードで社内向けに共有するほか、サイネージやWebサイト、スマートフォンアプリを通じて来訪者にも混雑情報を届けることが可能です。

計測したデータは、クラウドなどのシステム側で集計・処理され、設定した閾値に応じて「空いている」「やや混雑」「混雑」などの表示に変換されます。

複数拠点で運用する場合は、クラウド上でデータを一元管理し、Webサイトやサイネージと連携して表示する構成もあります。

施設の規模や用途に応じて選択するのが一般的です。

混雑状況を可視化する代表5手法と選び方【比較表】

AIカメラやセンサーなど5つの混雑可視化手法を比較するイメージ

混雑状況を可視化するための手法は、主に5種類に分かれます。

ここでは各手法の特徴を整理し、章末に比較表を掲載しますので、自社に合った方式を検討する際の判断材料としてお役立てください。

各手法の詳しい比較は、以下の記事でも解説しています。

手法1. AIカメラ

AIカメラは、カメラで撮影した映像をAIが解析し、人数のカウントや属性の推定を行う方式です。

人数だけでなく、移動動線や滞在時間、年代・性別の推定まで対応できる柔軟性があり、商業施設や飲食チェーン、温浴施設、フィットネスクラブなど幅広い業態での活用が想定されます。

既存の防犯カメラと兼用できるケースもあるため、新規の機器設置を抑えられる場合もあります。

一方で、初期費用がほかの手法と比べてやや高めになる傾向があることと、映像を扱うためプライバシーへの配慮が求められる点は留意しておく必要があります。

手法2. 3Dセンサー(ステレオカメラ)

3Dセンサーは、2つのレンズで立体的に人を識別し、人数をカウントする方式です。

頭部の形状を立体的に認識するため、人同士が重なるような混雑時(オクルージョンと呼ばれる状態)でも計測精度が落ちにくいという強みがあります。

店舗入口やレジ前、通路など狭い動線上の計測に適しており、映像を保存しない運用も選択できるため、プライバシーに配慮した運用を検討しやすい点も特徴です。

手法3. サーモパイルセンサー(例:Butlr社のセンサー)

サーモパイルセンサーは、人の体温から発せられる赤外線(熱)を検知して、空間内に何人いるか、どこに滞在しているかを把握する方式です。

カメラや音声を使わず、個人を識別し得る情報を取得しにくい設計とされているため、プライバシーへの配慮を重視したい施設で採用されるケースもあります。

セキュアでは、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)発のButlr社が開発した匿名型人物検知センサー「Heatic 2/Heatic 2+」を活用した混雑可視化ソリューションをご提供可能です。

Butlr社のセンサーは、グローバルで以下のような特徴を備えています。

カメラレスで人流データを取得できる空間センサー

カメラ画像を取得しないサーモパイル方式で、取得データを限定しやすい設計

低消費電力かつワイヤレスで設置に対応(配線不要)

API連携による柔軟な外部システム統合

センサーは「プレゼンスモード」と「トラフィックモード」の2種類の使い方に対応しており、エリア内の人数と滞在状況を把握するモードと、出入口での通過人数を計測するモードを使い分けることが可能です。

Butlr社のセンサーは、オフィス、医療・福祉施設、小売、公共施設など、幅広い用途での活用が想定されるサーモパイル方式の人物検知センサーです。

出典:Butlr Technologies「Who We Are」

手法4. ビーコン

ビーコンは、Bluetoothの電波を利用して、スマートフォンや専用端末の位置を推定する方式です。

大きく分けて「移動型」と「固定型」の2パターンがあります。

ビーコン移動型

来訪者のスマートフォンアプリとビーコン端末を連動させる方式です。

来訪者にアプリのインストールが必要になるため導入ハードルはやや高くなりますが、来訪者の端末やアプリに紐づくIDを用いて、一定範囲の行動傾向を分析できる場合があります。

なお、同一端末・同一利用者の行動を継続的に分析する場合は、アプリ上での通知・同意の取得や、プライバシーポリシーでの説明、取得データ・保存期間の整理が必要です。

ビーコン固定型

施設内にBluetooth受信機を設置し、エリアごとの滞在人数を推定する方式です。

来訪者にアプリを入れてもらう必要がなく、ゾーンごとの混雑度を把握するシンプルな運用に向いています。

なお、ビーコン方式は端末を持たない来訪者はカウントできないため、AIカメラや3Dセンサーと比べると人数の網羅性に限界がある点は注意が必要です。

手法5. 入退室ログ

入退室管理システム(ICカードや顔認証など)のゲート通過ログを使って、エリア内の在室人数をリアルタイムで把握する方式です。

オフィス、会員制フィットネスクラブ、会議室など、出入口が管理されている施設では、追加の設備投資を抑えながら混雑の可視化に取り組めます。

すでに入退室管理システムを導入済みの施設にとっては、既存設備を活用しやすい選択肢の一つです。

【一覧比較表】5手法のコスト・精度・プライバシー・導入難度・向く施設

比較項目AIカメラ3Dセンサーサーモパイル(Butlr社等)ビーコン入退室ログ
初期費用(目安)高め中〜高低〜中低(既存設備活用時)
運用月額(目安)中〜高
計測精度比較的高い(属性分析に対応できる場合あり)比較的高い(重なりに比較的強い)熱源ベースで人数把握に対応中程度(端末保有前提)ゲート通過ログに基づき把握
プライバシー配慮映像を扱うため対策が必須映像非保存型も選択可カメラ画像を取得しない方式端末・アプリIDを用いる場合がある個人認証情報を扱う
導入の手軽さカメラ設置+AI設定が必要センサー設置が中心ワイヤレス設置に対応ビーコン端末の配置が中心既存システム活用可
向く施設規模中〜大規模小〜大規模小〜大規模中〜大規模小〜中規模
向く業態商業施設・飲食・温浴幅広い業態で検討可能オフィス・医療・公共・小売イベント・大型施設オフィス・会員制施設

費用・精度・効果に関する注記

費用・精度・効果は、公開情報および一定の前提条件に基づく目安です。

実際の費用・性能・効果は、施設の規模、設置場所、天井高、照明、混雑度、通行方向、カメラ・センサー台数、ネットワーク環境、既存設備、工事範囲、保守内容、契約プラン、外部システム連携、運用体制により異なります。

正式な金額や導入可否は個別見積もり・現地確認によりご確認ください。

混雑可視化システムの費用相場|初期費用と運用コストの目安

AIカメラ、センサー、ネットワーク、設置工事など混雑可視化システムの費用構成を示すイメージ

混雑可視化システムの導入を検討する際に「そもそもいくらかかるのか、桁がわからない」という声は少なくありません。

ここでは、費用が変動する要因と、活用できる補助金制度を整理します。

初期費用・運用費は「現場の条件」で大きく変わる

混雑可視化システムの費用は、手法の種類だけでなく、カメラやセンサーの台数、施設の広さや構造、計測したいポイントの数、既存設備との連携可否、ネットワーク環境の整備状況など、現場ごとの条件によって大きく変動するのが実情です。

たとえば同じAIカメラ方式であっても、出入口1箇所だけを計測する場合と、フロア全体を複数台でカバーする場合とでは、費用感はまったく別物です。

また、運用費についてもクラウド利用料・保守費・ライセンス料の構成は製品やプランによって異なり、拠点数が増えることでボリュームディスカウントが効くケースもあります。

そのため、費用の見積もりは現場の条件を踏まえたうえで個別に算出するのが確実です。

株式会社セキュアでは、施設の規模や目的に合わせた概算見積もりのご相談にも対応しています。

「まずはざっくりの費用感を知りたい」という段階でもお気軽にお問い合わせください。

\ 導入費用や構成の考え方を確認したい方へ /

施設規模や計測範囲、既存設備を踏まえ、必要な構成と見積もりの進め方をご案内します。

混雑可視化の費用を相談する

見落としがちな「隠れコスト」3つ

見積書に載りにくいコストとして、3つの項目を事前に把握しておくことをおすすめします。

1つ目は設置工事費です。

天井への取り付け工事やネットワーク配線の引き回し工事が必要になる場合があります。

2つ目はネットワーク整備費です。

クラウド型を導入する場合、施設内のWi-Fi環境や有線LAN環境が不十分だと、通信インフラの追加整備が発生することがあります。

3つ目は社内運用体制の構築コストです。

ダッシュボードを誰が見るのか、データの分析を誰が担当するのかといった運用設計を事前に決めておく必要があります。

ツールを導入しても「見る人がいない」状態にならないよう、運用体制の設計まで含めた導入計画を立てることが重要です。

導入に活用できる補助金制度

混雑可視化システムの導入にあたっては、国の補助金制度を活用できる可能性があります。

2026年8月時点で主な候補となる制度を紹介します。

1つ目は「デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)2026」です。

通常枠の補助額は5万円以上450万円以下で、必要な業務プロセス数によって区分されています。

補助率は原則1/2以内で、一定の賃金要件を満たす場合は2/3以内です。

AIカメラ関連のソフトウェアやクラウド利用料、導入支援費用などが対象となる可能性があります。

出典:中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026」

2つ目は「中小企業省力化投資補助金」です。

同制度には「カタログ注文型」と「一般型」があり、一般型では個別の現場や事業内容に合わせた設備導入・システム構築など、多様な省力化投資が支援対象とされています。

AIカメラや人数カウントシステムも、省力化投資の趣旨や公募要件に合致する場合は申請対象となる可能性があります。

出典:中小企業基盤整備機構「中小企業省力化投資補助金」

いずれの制度も申請時期や要件は随時更新されるため、最新情報は各制度の公式サイトでご確認ください。

自社の施設規模や業態に合った補助金の活用可否について、セキュアへのお問い合わせ時にご相談いただくことも可能です。

補助金に関する注記 補助対象となるかは、導入する機器・ソフトウェア、申請枠、事業計画、最新の公募要領により異なります。必ず各制度の公式サイト・公募要領をご確認ください。当社は補助金の採択・交付を保証するものではありません。

施設規模・業態別|自社に合う可視化手法の選び方

小規模・中規模・大規模施設に合わせて混雑可視化の計測手法を比較するイメージ

各手法の概要と費用感を把握しても、「結局うちの施設にはどれが合うのか」という判断は簡単ではありません。

ここでは「施設規模」と「業態」の2軸から、選び方の目安を整理します。

施設規模別の選び方(小規模/中規模/大規模)

以下は、施設の規模イメージに応じた手法選定の目安です。

実際に適した手法は、出入口の数や動線、既存設備の状況によっても異なるため、現地調査での確認をおすすめします。

小規模施設(出入口が少なく、限られたエリアを管理する施設)であれば、入退室ログやサーモパイルセンサー、狭い動線に向いた3Dセンサーなど、初期コストを抑えた方式が候補になります。

出入口が1〜2箇所に限定されている施設では、入退室ログだけでも必要な人数把握に対応できる場合があります。

中規模施設(複数の出入口や売り場・フロアを持つ施設)であれば、3Dセンサー、エントリー向けのAIカメラ、複数エリアに展開しやすいビーコンなどが、精度とコストのバランスを取りやすい選択肢です。

来店分析やスタッフ配置の最適化など、取得データの活用用途を広げたい場合は、AIカメラのほうが適しているでしょう。

大規模施設(複数フロア・複数エリアを持つ大型施設)であれば、AIカメラとダッシュボード分析を組み合わせた本格運用が中心の候補となりますが、エリアによっては3Dセンサーやサーモパイルセンサー、ビーコンを組み合わせた運用も選択肢になります。

複数フロア・複数エリアの混雑を一元管理し、時間帯や曜日による傾向分析を経営判断に活用する運用が一般的です。

業態別の選び方(小売・商業/飲食/温浴/フィットネス/オフィス/医療・公共)

業態ごとに、導入時に優先すべき観点は異なります。

小売・商業施設

ショッピングセンターや百貨店では、来店人数カウントに加えて属性分析(年代・性別の推定)まで対応できるAIカメラが有力な選択肢です。

フロアごとの混雑傾向を分析し、販促施策のタイミングやレイアウト変更の判断に活用する動きも見られるようになりました。

混雑データと来店人数の傾向を組み合わせることで、季節やイベントに応じた人員配置やレイアウト変更の判断材料としても活用できます。

飲食関連施設

レジ待ち行列の可視化と空席情報の発信が主なユースケースです。

入口付近にAIカメラを設置し、待ち時間の可視化と来店促進を同時に行う方法が候補になります。

飲食店への防犯カメラ導入については、設置場所ごとの選び方を解説した記事も参考にしてみてください。

温浴施設

脱衣所や浴室に近いエリアではプライバシー配慮が最優先となるでしょう。

映像を保存しない3Dセンサー方式や、カメラを用いないサーモパイルセンサーが適しており、大浴場入口にサイネージを設置して混雑度を表示する運用も見られます。

フィットネスクラブ

会員制であることを活かして入退室ログ方式が候補になります。

会員カードや顔認証でのチェックイン・チェックアウトデータを活用し、ジムエリアやスタジオの混雑状況をアプリで配信する運用も可能です。

オフィス

会議室やフリースペース、トイレなどの利用状況を把握する用途が主流です。

入退室管理システム(SECURE ACなど)との連動に加え、カメラを使わないサーモパイルセンサー(例:Butlr社のセンサー)を用いれば、プライバシーに配慮しながら会議室の占有率や在席状況まで計測できます。

医療機関・金融機関などの待合スペース

病院の待合室や外来受付、銀行ATMコーナーなど、待ち時間の発生しやすい施設でも混雑状況の可視化が有効です。

たとえば銀行のATMは、給料日や「五十日(ごとおび)」と呼ばれる5日・10日・15日など、特定の日に利用が集中する傾向があります。

こうしたピーク日の混雑をあらかじめ予測し、待ち時間や混雑度を店頭やWebで案内できれば、利用者の体感待ち時間を軽減できるだけでなく、窓口の人員配置の見直しにもつなげられるでしょう。

公共施設・自治体図書館・博物館・市役所の窓口など、公共性の高い施設でもサーモパイルセンサーやAIカメラによる人流把握が採用されるケースもあります。

混雑の分散を案内することで、来館者の利便性向上と施設内の安全管理の両立を検討しやすくなります。

株式会社セキュアでは、施設の規模や業態に合わせて可視化手法をご提案しています。

「うちの施設にはどの方式が合うのか」を整理したい方は、お気軽にご相談ください。

\ 自社施設に合う計測方法を選びたい方へ /

施設規模や業態、必要な精度に合わせて、AIカメラやセンサーの選択肢を整理します。

自社に合う方法を相談する

混雑状況を可視化する4つのメリット

混雑状況の可視化によって顧客満足度と業務効率を高めるイメージ

混雑状況を可視化することで、施設運営にはどのような効果が期待できるのでしょうか。

ここでは、導入によって得られる代表的な4つのメリットを整理します。

メリット1. 顧客満足度の向上と機会損失の防止

混雑状況をリアルタイムに発信することで、来訪者は空いている時間帯を選んで訪問しやすくなるでしょう。

結果として「行ったのに混んでいた」というストレスが軽減され、施設の評価改善や再訪促進につながる可能性があります。

また、混雑の分散が進めば、前述の「入店前離脱」「レジ待ち離脱」「リピート離脱」の3段階の機会損失を抑える効果も見込めます。

メリット2. スタッフ配置の最適化と業務効率化

時間帯別・曜日別の混雑データが蓄積されることで、ベテランの感覚に頼っていたシフト設計をデータで裏づけることが可能です。

ピーク帯に人員を厚く、閑散帯に薄くする配置が可能になり、スタッフの負担軽減と人件費の適正化につながるポイントです。

さらに、「今混んでいますか?」

という問い合わせ対応が減少すれば、現場スタッフの業務負荷を軽くする効果も見込めるでしょう。

メリット3. データに基づく経営判断

混雑データを蓄積・分析すれば、売り場のレイアウト変更やセール・キャンペーンのタイミング設定、営業時間の調整といった施策を、勘ではなくデータに基づいて意思決定できるようになります。

「いつ、どこが、どれくらい混むのか」を数値で可視化することで、経営会議でも説明しやすくなります。

メリット4. トラブル予防と安全確保

過密状態を早期に把握することで、施設内でのトラブルやクレームの予防に役立つ場合があります。

混雑度が一定の閾値を超えた際にアラートを出す仕組みを設定しておけば、入場制限やスタッフ増員の判断を迅速に行えます。

災害時の避難誘導においても、各エリアの滞在人数データが把握できていることは安全確保の判断材料になります。

イベント会場などの入場管理における活用事例は、以下の記事で詳しく紹介しています。

業態別の活用シーン

商業施設や飲食施設などで混雑状況を可視化する活用シーン

混雑状況の可視化は、さまざまな業態での活用が想定されます。

ここでは代表的な活用シーンを紹介します。

シーン1. 温泉・娯楽・遊戯施設

大浴場やプール、アミューズメントフロアの入口にサイネージを設置し、リアルタイムの混雑度を5段階のアイコンで表示するケースが増えてきました。

利用者が空いているエリアを自分で選べるようになることで、快適性の向上と施設内の回遊促進を同時に狙える点が魅力です。

シーン2. 飲食関連施設

飲食店やフードコートでは、空席情報をリアルタイムで配信することで、回転率や顧客満足度の改善に向けた運用を検討できます。

外部の予約サイトやGoogleマップと混雑情報を連携させれば、来店促進につながる可能性があります。

シーン3. 商業施設

ショッピングセンターや百貨店では、フロアごとの来店傾向を把握し、テナントへのフィードバックや販促施策の効果検証に活用するケースが一般的です。

混雑データと売上データを重ね合わせることで、レイアウト変更の効果を定量的に測定できるようにもなります。

シーン4. 運動・健康施設

フィットネスクラブやスポーツジムでは、マシンエリアやスタジオの混雑状況を会員向けアプリで配信する運用も見られます。

混雑を避けて利用しやすい環境づくりにより、会員満足度の向上に寄与する可能性があります。

施設の安全管理にも役立ちます。

シーン5. 公共施設・スマートシティ

自治体や公共施設でもAIカメラを活用した混雑可視化の取り組みが進んでいます。

国土交通省が推進するProject PLATEAU(プラトー)では、既設カメラの映像を解析して人流データを生成し、3D都市モデル上で混雑状況を可視化する実証実験が行われました。

出典:国土交通省 PLATEAU「カメラ映像の解析による混雑状況の可視化」

プライバシー配慮と法的リスク対応|導入前に押さえるべきこと

匿名化した人流データを保護しながら混雑状況を可視化するイメージ

混雑状況の可視化にカメラやセンサーを用いる場合、プライバシーへの配慮は避けて通れません。

ここでは、経済産業省・総務省が策定した「カメラ画像利活用ガイドブックver3.0」の内容を踏まえ、導入前に押さえておくべきポイントを整理します。

カメラ画像利活用ガイドブックver3.0の要点

「カメラ画像利活用ガイドブックver3.0」は、IoT推進コンソーシアムのカメラ画像利活用SWGが2022年3月30日に策定・公表したものです。

出典:総務省「カメラ画像利活用ガイドブックver3.0の公表」(2022年3月公表、2026年8月閲覧)

ver3.0では、令和2年・令和3年に改正された個人情報保護法への対応に加え、ソリューション企画段階からの配慮や人権観点(差別的取扱いの回避)が新たな改訂ポイントとして盛り込まれました。

当社代表取締役の谷口辰成は、同ガイドブック策定にあたりカメラ画像利活用SWGの有識者委員として議論に参加しています。

混雑可視化に該当する2つのユースケース

同ガイドブックでは、カメラ画像の利活用に関して6つの適用ケースが整理されています。

混雑可視化に直接関係するのは、主に以下の2つです。

1つ目は「人・車等の数のカウント」(ケース④)です。

出入口や通路にカメラを設置して通過人数をカウントする用途が該当し、撮影画像を速やかに破棄する運用が求められるとされています。

2つ目は「人物の滞留状況把握」(ケース⑥)です。

特定エリアにおける滞在人数の把握が該当し、アイコン化処理(人の形をシルエットに変換するなど)を用いてプライバシーリスクを低減する運用例が示されています。

出典:経済産業省「カメラ画像利活用ガイドブックver3.0」

カメラ設置時の顧客説明・掲示のポイント

カメラを設置する際は、施設内に「防犯・混雑状況把握を目的としてカメラを設置しています」といった掲示を行うことが望ましいとされています。

掲示に盛り込む要素としては、設置目的、運営者名、問い合わせ窓口の3点が基本になります。

来訪者が不安を感じないよう、設置目的を明確に伝えることが信頼構築の第一歩です。

マスキング・匿名化技術の活用

近年は、カメラ映像の中の顔や体を自動でぼかす「マスキング技術」や、人の形をシルエットに変換する「匿名化技術」が普及しています。

映像を保存しないタイプの3Dセンサーや、そもそも画像を取得しないサーモパイルセンサー(例:Butlr社のセンサー)であれば、映像データを保有しない分、プライバシーリスクを抑えやすい点が利点です。

セキュアが提案する画像解析ソリューション「SECURE Analytics」でも、プライバシーに配慮した運用設計についてもご相談いただけます。

SECURE Analytics(画像解析ソリューション)

施設の運用方針に合った方式を選定することで、プライバシーリスクに配慮しながら、混雑可視化の運用を検討しやすくなります。

導入前に押さえるべき4つのチェックポイント

施設の図面を確認しながら混雑可視化システムの導入計画を検討する担当者

混雑可視化システムの導入にあたっては、事前に確認しておくべきポイントがあります。

稟議を通す前のセルフチェックとしてもご活用ください。

ポイント1. 導入目的を明確にする

混雑状況を可視化する目的は「顧客体験の向上」「業務効率の改善」「経営判断のデータ化」「安全管理の強化」など、施設によって異なります。

目的を明確にしておくことで、手法の選定や効果測定の指標が定まりやすくなります。

ポイント2. 施設規模・運用方法に応じた設計

施設の広さ、動線の特性、出入口の数、既存設備(防犯カメラ・入退室管理など)との連携可否を踏まえた導入設計が重要です。

施設全体を一度にカバーするのではなく、まずは主要な出入口やボトルネックになりやすいエリアから段階的に導入する方法も有効です。

ポイント3. 費用対効果の試算

初期費用と運用費を把握するだけでなく、「混雑可視化によって削減できるコスト」をあわせて試算しておくと、稟議での説明力が高まります。

たとえば、機会損失の削減額、人件費の適正化額、問い合わせ対応の削減時間などが試算の対象になります。

前述の「推定離脱客数 × 平均客単価 × 年間発生日数」の計算式を使えば、概算の投資対効果を数字で示すことが可能です。

ポイント4. プライバシー・運用体制の確認

カメラを使用する場合の社内ガイドライン整備、ダッシュボードを確認する担当者の配置、データの閲覧権限の設計、来訪者からの問い合わせ対応窓口の設置など、運用に関わる体制を事前に固めておくことが欠かせません。

前述の「カメラ画像利活用ガイドブックver3.0」に記載されたユースケースに沿って運用設計を行うことで、法的リスクの低減にもつながるでしょう。

「誰がデータを見て、どう活用するか」の運用フローまで含めて設計しておくことが、導入後の定着率を左右します。

SECURE Analyticsで混雑状況の可視化に取り組む

SECURE Analyticsによる混雑状況の可視化イメージ

ここまでの章で解説してきた手法のうち、AIカメラ・3Dセンサー・サーモパイルセンサーを組み合わせた混雑可視化に対応するソリューションが、画像解析ソリューション「SECURE Analytics」です。

ここでは、その主な特徴を紹介します。

混雑カウント:3Dセンサーによる人数計測

セキュアの「混雑カウント」は、天井に設置した3Dセンサーで出入口や通路を通過する人数を計測し、混雑状況を可視化する仕組みです。

混雑カウントの仕組みや活用シーン、表示イメージについては、混雑カウントのソリューション紹介ページで詳しくご覧いただけます。

映像を保存しない運用にも対応しているため、カメラ画像利活用ガイドブックver3.0の「ケース④:人・車等の数のカウント」に沿ったプライバシー配慮型の運用が可能です。

設置工事からクラウド接続、ダッシュボードの設定まで一括で対応しているため、導入にかかる手間を抑えられる点も特徴です。

Butlr社のサーモパイル方式センサー

Butlr社は、MIT発のスタートアップが開発した匿名型人物検知センサーを提供しています。

サーモパイル(赤外線)方式で人の体温由来の熱を検知する仕組みのため、カメラや音声を使わず、個人を識別し得る情報の取得を抑えた設計とされています。

ワイヤレス設置に対応しているため、既存の建物でも配線工事を抑えられる場合があります。

段階的なエリア拡張にも柔軟に対応できます。

オフィスの会議室利用率把握、医療・介護施設の見守り、小売店舗の動線分析、公共施設の混雑可視化など、幅広いユースケースでの活用が想定されます。

プライバシーへの配慮を重視したい施設や、カメラの設置が難しい空間での混雑可視化に適した選択肢です。

幅広い業態での活用を想定

SECURE Analyticsは、温浴施設、飲食関連施設、商業施設など、さまざまな施設での混雑可視化への活用が想定されます。

導入先の業種や規模に合わせたご提案が可能ですので、具体的な活用方法については資料やお問い合わせを通じてご確認ください。

まとめ

混雑状況の可視化は、施設運営における顧客体験の向上、業務効率の改善、データに基づく経営判断を同時に後押しするための手段です。

本記事では、可視化の全体像から5つの代表手法(AIカメラ・3Dセンサー・サーモパイルセンサー・ビーコン・入退室ログ)の特徴と比較、費用相場と補助金制度、施設規模・業態別の選び方、そしてカメラ画像利活用ガイドブックver3.0に基づくプライバシー対応と導入前チェックポイントまでを一通り整理しました。

どの手法が自社に合うかは、施設の規模、業態、既存の設備環境、そして導入目的によって異なります。

混雑可視化の導入を検討される際は、まずは自社の課題と導入目的を整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。

株式会社セキュアでは、AIカメラ・3Dセンサーを活用した混雑可視化ソリューション「SECURE Analytics」を通じて、施設ごとの課題に合わせた導入をご支援しています。

\ 混雑可視化の導入を具体的に検討したい方へ /

現地条件や運用目的を確認し、計測から表示・分析まで必要な構成をご案内します。

混雑可視化について相談する

ButlrおよびHeaticはButlr Technologies Inc.の登録商標です。
Wi-FiはWi-Fi Allianceの登録商標です。
BluetoothはBluetooth SIG, Inc.の登録商標です。
QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

監修者

セキュリティマーケター

和田 麗奈

保有資格:防犯設備士(優良)

株式会社セキュアに入社後4年間、セキュリティソリューション営業に従事。多岐にわたる業界・業種の課題解決に貢献する。
現在はマーケティングチームに所属し、現場での経験を活かしながら活動中。

関連記事